vol.374:前庭病変を有する方の筋電図 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
前庭病変を有する方の筋電図
Electromyographic activity of sternocleidomastoid and masticatory muscles in patients with vestibular lesions.PubMed Tartaglia GM et al.(2008)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・前庭システムについて、より学習を深め、臨床に活かせるようにしていきたいと思ったため。
内 容
背景
・前庭システムは、重力と調和して、被験者と環境との動的相互作用を可能とする。 前庭系の主な機能の1つは、重力場および運動中の頭部の安定化である。 前庭系と頸部の筋肉との間の解剖学的および機能的な接続はよく知られている。
・胸鎖乳突筋(SCM)は、頭を安定させるために頸部の伸筋に作用する。 聴覚入力は、SCM活動を調節することができます。
・咀嚼筋の運動制御機構に関する前庭系の役割はあまり知られていない。 それらは、咀嚼やスピーチだけでなく、静止状態や動的状態において、顎姿勢を静止位置から離して維持することにも関与していると考えられています。前庭入力は、神経生理学的および解剖学的研究の両方によって示されるように、咀嚼筋を支配する三叉神経運動単位の活動を調節することができる。聴覚系と三叉神経系の神経支配構造との間の相互作用も様々な末梢レベルで実証されている。
・メニエール病と診断された患者では、顎関節症(TMD)の徴候および症状の高い罹患率、ならびに頭蓋 – 頚部障害の罹患率が見出されている。また、メニエール病の歯科起源が近年提案されている。
・メニエール病または末梢性前庭病変を有する患者の以前の研究と同様に、我々の臨床経験は、頸部および咀嚼筋の触診に対する圧痛を報告する。また、TMDや頸椎疾患の治療後に症状の緩和(主に眩暈、耳鳴り、耳の充満感)が報告されている。
・Ciancagliniらは、難聴と顎関節症の重症度との間に直接的な関係があり、TMD患者の耳症状の罹患率が増加していることを発見した。
目的
・本研究では、前庭病変の被験者における咀嚼筋および頸部筋の筋電図学的特徴を評価した。
方法
・メニエール病患者19例、急性末梢性前庭病変患者12例、性別および年齢が一致した対照被験者19例において、咬筋、側頭筋および胸鎖乳突筋の表面筋電図検査を行った。
結果
⇒メニエール病・末梢前庭病変および対照者(平均値)を有する男性(M)および女性(F)患者における標準化されたactivityおよび頸部の負荷(MVC中のSCMの同時収縮)。
・自発的な強い力で食いしばり運動を行った際に、末梢前庭病変を有する患者は、胸鎖乳突筋の最大収縮を示し、対照者は最小値を有し、メニエール病患者は中間値を有した。
・結論として、自発的な強い力で食いしばり運動の間、前庭病変を有する患者は、正常なコントロールよりも頸部筋がより活発であり、咀嚼筋活動がより少ない。
・結果は、前庭病変を有する患者のより包括的な頭蓋、顎を含む頭頸部評価の重要性を強調している。
私見・明日への臨床アイデア
・前庭系の病変、異常の方の評価をする際に、頭頚部周囲の評価が重要となる。胸鎖乳突筋はその指標の一つであることが示唆される。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)