皮膚伸張と振動刺激の複合的感覚入力による運動錯覚
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カテゴリー
神経系
タイトル
Cutaneous receptors contribute to kinesthesia at the index finger, elbow, and knee.☞リンクhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15917323
Pubmed.Collins DF et al.J Neurophysiol. 2005 Sep;94(3):1699-706. Epub 2005 May 25.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・運動感覚kinesthesiaに興味があり、どのように入力すると、よりリアルな運動感覚を入力する事が出来るか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景/目的
・関節の位置感覚と運動の根底にある神経メカニズムは物議を醸すままです。
・皮膚受容体は指の運動感覚に寄与することが知られているが、本実験では皮膚受容体が他の主要な関節においても寄与しているという仮説を検証する。
方法
・示指のIP関節、肘、および膝関節で皮膚および筋紡錘の受容体の集団を別々および共に刺激することによって、運動錯覚が誘発された。
・皮膚受容体は皮膚の伸張および振動により筋紡錘の受容体を活性化された。
・刺激は、関節屈曲中に放出される受容体を活性化するように設定された。
結果
・人差し指では、手の背側の伸筋腱に振動を加え、MCP指節関節の屈曲運動の錯覚を喚起した。また、IP関節の周囲の皮膚の伸張を行った。強い皮膚の伸張は、6/8人の被験者において近位IP関節の屈曲の錯覚を引き起こした。振動中に送達される強い皮膚伸張は、振動のみと比較してMCP関節の知覚される屈曲の付随的な減少を伴って、 proximal IP関節の知覚される屈曲を8倍増加させた。
・肘については、上腕三頭筋の遠位部の腱に振動を加え、背側前腕の皮膚を伸ばした。5/10の被験者において強い皮膚の伸張が肘の屈曲運動錯覚を誘発した。同時に強い皮膚の伸張と振動は、振動と比較して1.5倍肘の屈曲運動錯覚を増加させた。
・膝については、膝蓋腱に振動を加え、大腿部の皮膚を伸ばした。皮膚伸張のみで3/10人の被験者(8±4度)で膝屈曲が錯覚が誘発され、振動中に皮膚伸張をした場合は、振動のみと比較し、1.4倍運動錯覚する被験者が増加した。
・皮膚受容体、筋受容体からの入力、および両方の受容体からの組み合わされた入力は、体全体の関節における運動感覚を補助する可能性が高い。
私見・明日への臨床アイデア
・感覚は単独よりも、複合的(異種)、同時に入力する事でよりリアルな運動錯覚として統合されることが示唆された。振動による運動錯覚は市販のハンディマッサージャーでも体験できるため是非試用して頂きたい。その際、錯覚を起こすには、その感覚入力以外の感覚による阻害が起こらないよう(視覚の遮断など)環境設定することが望ましいと思われる。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)