手からの感覚入力と姿勢制御
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
下肢の筋が疲労した後に姿勢動揺に対して指の軽い接触が与える影響
Effect of light finger touch on postural sway after lower-limb muscular fatigue.Vuillerme N, Nougier V(2003)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・足底の感覚の低下や視覚の低下がある患者が姿勢制御を学習する方法として手からの感覚入力を使えないかと考え、この論文を読むに至った。
内 容
方法
・ 9人の健康な右利きの大学生を被験者とした。
・ 閉眼で両下肢での立位で以下の4つの条件下で姿勢動揺を最小にするように依頼した。
・ 条件は疲労なし/接触なし、疲労なし/接触あり、疲労あり/接触なし、疲労あり/接触あり、の4つ。
・ 接触ありの条件では右前腕を地面と平行にした状態で腰の高さでカーテンに示指の指尖で軽く触れる。左上肢は自然に体側に下垂させる。
・ 疲労なしで接触ありと接触なしの条件をランダムに5回ずつ行い、その後、筋を疲労させた状態での接触ありと接触なしを5回ずつ行った(つまり各条件の合は計20回)。
・ 疲労ありの条件では実験ごとに筋を疲れさせる動作を行い、その直後に実験した。
・ 疲労ありの条件は疲労の限界までつま先立ちさせることで作った。
・ 各条件での姿勢動揺は30秒間フォースプラットホームに乗り、被験者のCOPの移動範囲とスピードを記録することで評価した。
結果
・ Figure1は典型的な患者の4つの条件下でのCOPの移動を表している。
・ 軽い接触により疲労なし/疲労ありの両方の条件で姿勢動揺を減少させた(Figure 2)。
・ このように安定させる効果は疲労している際に目立っていた。
・ COPの移動範囲とスピードの両方において軽い接触が疲労による影響を代償する可能性が示唆された。
私見・明日への臨床アイデア
・足底の感覚が低下している患者や垂直軸が傾斜している患者に手からの感覚入力を行うことは有効な治療になりうると考えられる。また立位での姿勢制御訓練の段階付けとして手からの感覚入力を行う方法も試す価値があると考える。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)