肩甲骨のジスキネジア(Scapular Dyskinesis)と肩損傷との関係を教えて!!脳卒中・片麻痺のリハビリ
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
肩関節評価に役立つ動画は↓↓↓
カテゴリー
脳卒中
タイトル
Scapular Dyskinesisと肩損傷との関係
Effective music therapy techniques in the treatment of nonfluent aphasia.Kibler WB1, Sciascia A, Wilkes T(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・肩関節の詳細なプロトコルを知りたかったため
内 容
BACKGROUND
・肩甲骨は、正常な肩の機能においてほぼすべての面で重要な役割を果たしています。しかし、肩甲骨ジスキネジア – 肩甲骨の位置および動きの変化 –という状態が起こると、ほとんどの肩の負傷に関連して現れることがあります。
・今日の基礎科学や臨床研究において、肩甲上腕リズムに関する知見は重要視されています。具体的には、三次元肩甲骨運動学による正常・異常の判別や、肩甲骨を評価する臨床的な方法の開発(例えばscapular assistance testやscapular retraction test)、そしてリハビリテーションガイドラインの策定につながっています。
肩甲骨の評価・治療
肩甲骨に関する主要な病気には、翼状肩甲や肩甲骨のスナッピングがあります。これらの症状を管理するためには、肩甲骨に焦点を当てたプロトコルが必要です。肩甲骨の異常が原因で起こる病気には、肩甲骨のインピンジメント、回旋筋腱板疾患、僧帽筋の損傷、鎖骨の骨折、肩鎖関節の損傷、および多方向の不安定性があります。これらの症状を抱える人は、肩甲骨ジスキネジアについて評価し、それに応じて治療する必要があります。
肩鎖関節損傷
ジスキネシスは、肩鎖関節損傷(AC)症状(ロックウッドIII型、IV型、およびV型)を有する患者の73%で実証されています。AC分離は肩甲骨上の鎖骨の支柱機能を変え、肩甲骨上腕リズムの生体力学的ねじ軸を変化させます。
そのため、中下方へ肩甲骨をスライドする際に、肩甲骨の内旋と前方突出を過剰に代償します。そのため、上肢挙上時の高さが減少します。(図6)。
・この動きは、胸郭上の肩甲骨の3番目の平行移動と呼ばれます。肩甲骨の位置が長引くと、インピンジメントや腱板断裂強度の低下など、慢性的なAC分離に関連した機能障害の問題が多く発生します。
臨床検査でジスキネシスが実証された場合は、鎖骨頸部の生体力学的異常を是正するために管理プロトコルを確立する必要があります。理学療法は、最初に肩甲骨の後方突出(retraction)と外旋(external rotation)を達成し、その後に後傾を達成することに向けられるべきです。
私見・明日への臨床アイデア
●肩関節の建設的評価が大事だと思います。また、肩甲骨のどの動きを出したいのかは対象者によって違いますし、一概に同じ環境下で行っても誘導できないことが多いので、腰背部や胸筋群のトーンなど全体に考慮することは変わらないと思います。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)