Vol.427 非麻痺側へのインソール挿入で麻痺側の荷重量が増大する?berg balance scaleバーグバランススケールなどを用いた慢性期脳卒中患者の非麻痺側のバランス – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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Vol.427 非麻痺側へのインソール挿入で麻痺側の荷重量が増大する?berg balance scaleバーグバランススケールなどを用いた慢性期脳卒中患者の非麻痺側のバランス

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カテゴリー

 

脳科学

 

タイトル

●非麻痺側へのインソール挿入で麻痺側の荷重量が増大する?慢性期脳卒中患者の非麻痺側へのインソール挿入の効果

 

●原著はCompelled Body-Weight Shift Approach in Rehabilitation of Individuals with Chronic Strokeこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●脳卒中患者への効果的な介入として、インソールの報告が増えている。脳卒中患者へのインソールアプローチの全体像を把握し、臨床応用していく学習の一助として本論文に至る。

 

内 容

 

背景・目的

 

●対称的立位と荷重は、歩行能力の予測因子として認識されており、対称的な荷重を達成することは、リハビリ・転倒防止面において重要な目標であることが示されている。荷重の非対称性とバランス障害は、麻痺側下肢への荷重方法の学習の結果である可能性がある。例えば、脳卒中後片麻痺の人は、重度麻痺により、非麻痺側を通して体重を支えることができないか、麻痺側への荷重に消極的である可能性がある。その後、運動機能が改善していくにもかかわらず、継続的な非対称性が残り、さらなる不使用を助長する可能性がある。この状況では下肢のCI療法を適用したくなるが、下肢を拘束しても歩行ができないため、片麻痺患者の歩行リハビリには使用できないのが現状です。

 

一方、単一ケーススタディでは、数週間にわたって靴のインソールを使用して、非麻痺側下肢を持ち上げることで、理学療法や日常活動の間、より対称的な荷重が促進された。さらに、インソールのウェッジを備えた脳卒中患者では聴覚フィードバックと組み合わされた歩行再訓練の結果、対照群と比較し歩行速度が改善されたことが示された。今回は、インソールの効果と聴覚フィードバックの効果を区別した。

 

●本研究目的は慢性期脳卒中患者のリハビリテーションにおける the Compelled Body Weight Shift 強制的なウエイトシフト(CBWS)療法の効果を評価すること。 CBWS​​は非麻痺側下肢を靴のインソールにより補高し、麻痺側に体重を強制的にシフトする。

 

方法

 

●非対称的な立位を示した慢性期片麻痺患者(平均年齢57.7±11.9歳、範囲は35〜75歳、脳卒中からの平均時間6.7±3.9歳、範囲は1.1〜14.1歳)の18人が参加した。実験群はCBWS療法と組み合わせた6週間の理学療法を受け、コントロール群は理学療法のみを受けた。両群は、リハビリテーション介入開始前、その終了後、および治療終了後から3か月で同一のテスト(Fugl-Meyer評価、Berg Balance Scale、体重負荷、および歩行速度)を受けた。

 

【完全版】ヒューゲルメイヤー評価/上肢編/FMA/fugl meyer assessment/脳卒中↓↓↓ https://youtu.be/kJHzElQSmvM

 

 

Berg Balance Scaleとは? https://youtu.be/eJonaDVOrKA

 

●脳卒中を起こし、非対称性の立位を示した参加者は、主治医や治療チームから紹介された後に募集された。この研究の基準は次の通り:慢性期脳卒中片麻痺患者、非対称性立位、最小限のアシストで立位・歩行ができる、および指示理解が可能。18人(平均年齢57.7±11.9歳、範囲は35〜75歳、男性14人・女性4人)が研究に参加した。 9人の患者は右半球病変を有し、9人の患者は左側に病変を有していた。参加者は、実験群と対照群にランダムに割り当てられた。実験群は、6週間にわたり、理学療法と組み合わせたCBWS療法を受けた。対照群は、6週間の理学療法のみを受けた。

 

●実験群に含まれる被験者には0.6 cmの厚さのインソールが提供された。対照群に含まれる被験者には提供されなかった。参加者は、6週間のトレーニングプログラムの期間中、毎日のすべての活動中に、麻痺側下肢にインソールが取り付けられた靴を履きました。 6週間という期間は、先行研究での治療効果を示した単一ケーススタディの結果に基づいていた。トレーニングの終了後、インソールは取り外された。両方のグループの被験者は、同様の6週間の理学療法を週1回60分間受けた。荷重練習には麻痺側下肢が体重計上にあり、非麻痺側下肢が体重計に隣接する木製ブロック上にある立位で行われた。さらに、患者は、両側同じ荷重を意識して、座位から立位および立位から座位の練習を行った。その他、バランス・歩行練習が行われた。患者と介護者の両方が、自宅でのエクササイズの指導を受け、毎日60分間理学療法を実行した。すべての参加者は、リハビリテーション介入前、介入後、および介入終了後3か月に同一のテストを実施した。

 

 

 

結果

 

●介入後、麻痺側の荷重は、対照群と比較し大幅に増加した(実験群9.7% 対 対照群6.4%)。同様に、歩行速度は対照群と比較し実験群で10.5%増加した。体重負荷と歩行速度の改善は、3か月の保持期間後も実験群で維持された。

 

 

●BBSは治療開始前の、実験群のスコアは42.9±3.7で、対照群では33.2±3.5であった。BBSのスコアは、両方のグループともに増加した。 6週間のトレーニングプログラムの完了後、実験群では45.0±4.1、対照群では34.0±3.5に達した。 その後の3か月保持期間後のスコアは、実験群では44.8±4.0であり、対照群では37.7±3.4であった。

 

●研究結果からCBWS療法を含む6週間の介入により、慢性期脳卒中患者の荷重と歩行速度の対称性が長期にわたって改善する可能性があることが明らかになった。

実験群は、保持期間の終わりまでに臨床的に有意な最小変化量(MCID)を達成した。

 

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

●一般的に足の短い方(短下肢)には荷重は乗せやすく、長下肢には荷重がかけづらくなる。例:休めの時の支える方が短下肢、足を出している方が長下肢。非麻痺側を補高することで、麻痺側を短下肢とし荷重をかけやすくしている。その状態で動く事で体全体の運動パターンの再学習が進み、インソール着脱後も動作方法が身についていたと考えられる。適切なインソールの挿入にて、体の全身的な使い方に変化を起こせることが示唆され、臨床でも実践していきたい。

 

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