Vol.445.筋力強化練習は脳卒中後の身体強度を高め活動を改善する!?脳卒中患者に対する筋力強化の重要性
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タイトル
●筋力強化練習は脳卒中後の身体強度を高め活動を改善する!?脳卒中患者に対する筋力強化の重要性
●原著はStrengthening interventions increase strength and improve activity after stroke: a systematic reviewこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において脳卒中患者の両側共に健常者と比較すると筋出力が低下しているのを観察する。実際、一般的にどうなのか興味を持ち本論文に至る。
内 容
脳卒中患者に対する筋力強化の重要性
●米国における脳卒中の年間発生率は現在約700,000人です。有病率は約550万人です。運動障害はさまざまな形をとることがありますが、筋力低下(最大自発力またはトルク)は最も明白です。それにもかかわらず、一部の臨床医は、筋力測定と脳卒中患者に対する筋力強化運動に反対している。どのようなアクティビティでも、それを実行するにはある程度の筋力が必要であることが示唆されています。
●脳卒中後の筋力の重要性の統計的基礎は、筋力が機能的活動パフォーマンスに関連していることを示す研究に基づいており、 50以上の論文がそのような関係を記述している。その研究のほとんどが起立着座、歩行、階段など下肢を含む活動に焦点を当てている。
●脳病変の同側(非麻痺側)の強さは、本来予測される数値の60%未満である可能性があり、遠位よりも近位でより損なわれる傾向がある。したがって、起立動作など体の両側の筋活動を必要とする機能的活動を要求する場合、非麻痺側の筋力強化が重要になる場合がある。脳卒中後の体幹筋も損なわれる可能性がある。このような障害は機能的活動に影響を与えるため、リハビリ開始時の評価で見落とされるべきではありません。
●麻痺側下肢と非麻痺側下肢の両方の複数の筋群の強さは、立位・方向転換・着座・移乗動作の自立と相関することが示されている。座位から立位への動作の自立は、膝伸展力と相関している。これは座位から立位中に手を使用できるかどうかに関係なく当てはまります。各下肢の膝伸筋の強さは座位から立位への自立度と相関しているが、両側の膝伸筋の強さを体重と一緒に考慮すると、より高い相関が実現する傾向がある。
●以前のレビューでは、レジスタンストレーニングプログラムは、脳卒中者の筋力を高めるのに効果的であると結論付けている。理論的および統計的根拠の両方に基づいて、筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)は機能的活動の改善をもたらす可能性が高いと思われる。どのようなレジスタンストレーニングを行うかに関係なく、レジスタンスエクササイズは障害のある行動に焦点を当てる必要があります。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では、脳病変と同側の筋力低下も本論文では話題に触れている。障害半球と同側に下行する神経経路もあり、両側の筋力に目を向ける必要がある。
●他文献においても、レジスタンストレーニングが痙縮を強めなかったという報告もあり、トレーニングの有用性が示されている。非麻痺側も含め、患者自身の体重を支えコントロールするだけの筋力があるのか評価する必要がある。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)