Vol.455.脳卒中後疲労って知ってる?脳卒中後疲労PSFのシステマティックレビュー
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タイトル
●脳卒中後疲労って知ってる?脳卒中後疲労PSFのシステマティックレビュー
●原著はFactors Associated with Poststroke Fatigue: A Systematic Reviewこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者で慢性的な疲労感を訴える患者は多い。脳卒中後疲労という特有の症状について学び、患者の疲労感について理解を深める為に本論文に至る。
内 容
脳卒中後疲労(PSF)の研究のシステマティックレビュー
●数十年間、疲労は脳卒中後のうつ病の症状であると考えられていた。しかし、うつ病のない患者が疲労を訴えることも多いという事実があり、「脳卒中後疲労」(PSF)という症候群として扱われている。現在のところ、合意に基づく明確な定義はない。これは部分的に症候群の複雑さによるものである。PSFは通常の疲労とは異なり、過度の運動から生じ、安静によって緩和される。実際、PSFは慢性的かつ持続的な過度のエネルギー不足を特徴とする疾患状態であり、日常生活活動に影響を及ぼす。
●先行研究ではPSFは脳卒中患者の23%から59.5%の間で生じる最悪の症状の1つであると示された。さらにPSFはリハビリ中の回復の主観的な感情に悪影響を及ぼします。
● 2つの研究は、患者がPSFに関する情報をほとんど受けておらず、疲労感を理解していないことを示している。次に、これは疲労、不安、うつ病、罪悪感、そして自尊心の低下への対処の困難さにつながります。疲労はまた、家族または友人からの患者の行動の誤解につながる可能性があります。過度の要求は、患者の能力を超え、不安や抑うつを招き、特定の活動や社会生活からの離脱につながる可能性があります。
●脳卒中後のさまざまな時点(急性期から長期まで)を調査した11の研究の結果では、疲労アンケートスコアとMMSEの相関関係を観察できませんでした。ある研究では、MMSEはPSFと相関していたが、その変化を予測できなかった。さらに、うつ病でない患者のみを考慮した場合、この関連性は消え、認知障害はうつ病によって媒介される可能性があることを示唆している。
●脳卒中後疲労(PSF)は女性・高齢患者でより頻繁にみられる傾向があるが主要な要因とは言えない。感情的障害とは強い関連がある。 注意障害(主に処理速度の低下)にも関連している可能性がある。その他、疼痛、睡眠、脳卒中前疲労、炎症プロセス等とも関連が示唆されている。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中後疲労はなかなか患者本人・周囲に理解されづらい障害と思われる。医療従事者でもそのような言葉を発する人は少ないように思われ、まずは、PSFという症状その対応を正確に知る事、それを伝えていく事から始めていく必要がある。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)