Vol.486.筋電図で下肢筋の相反性抑制について調べてみた!前脛骨筋と下腿三頭筋の非対称的な神経支配
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カテゴリー
タイトル
●筋電図で下肢筋の相反性抑制について調べてみた!前脛骨筋と下腿三頭筋の非対称的な神経支配
●原著はReciprocal Inhibition Between Motor Neurons of the Tibialis Anterior and Triceps Surae in Humansこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床を行う中で、筋の拮抗的・相反的な関係性は重要と感じる。しかし、筋はそれぞれサイズや神経支配比が異なり、力関係は均等でないように思われる。相反的な関係性を学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●足部の伸筋と屈筋の相互作用は、立位や歩行中に足関節の関節トルクを調整するための人間の重要な神経メカニズムです。下腿三頭筋と前脛骨筋の筋紡錘の数はそれぞれ550(GMで〜150、Solで〜400)と〜280です。下腿三頭筋の筋紡錘の数が多いことは、下腿三頭筋から前脛骨筋へのより大きな相互抑制を部分的に説明している可能性があります。
●ヒラメ筋を伸ばすと腓腹筋の伸張応答が強化され、逆も同様であり、これら2つの筋は相乗的に機能し、前脛骨筋からの相反抑制を抑える可能性がある。
●本研究は等尺性収縮中の拮抗関係の下肢筋間の相反抑制を調べた。
方法
●等尺性背屈および底屈運動中に、前脛骨筋、ヒラメ筋(Sol)および内側腓腹筋(GM)の筋から記録された高密度表面筋電図(HDsEMG)を使用し、運動単位活動が評価されました。
●拮抗筋の相反抑制は、脛骨(TN)または総腓骨神経(CPN)の電気刺激によって誘発されました。
結果
●下腿三頭筋から前脛骨筋の運動単位への相反抑制は、前脛骨筋から下腿三頭筋の運動単位への抑制よりも4倍大きかった。これは、足関節伸筋と屈筋間の相反抑制の非対称的な伝達を示唆しています。姿勢制御の神経戦略に関連付けられている可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●下腿三頭筋から前脛骨筋への抑制が逆と比較し大きいことが示唆された。それは脳卒中患者においては前脛骨筋の促通にて下腿三頭筋の過活動を抑制する(相反関係の正常化)のもひとつかも知れないが、下腿三頭筋の影響力の方が強いため下腿三頭筋のコントロールを随意的に行えることが前脛骨筋と下腿三頭筋の関係性を正常化するのにはより重要かもしれない。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)