Vol.488.睡眠薬服用時は転倒に気をつけて!夜間中途覚醒とバランス・認知機能との関係性
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カテゴリー
タイトル
●睡眠薬服用時は転倒に気をつけて!夜間中途覚醒とバランス・認知機能との関係性
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●睡眠障害や睡眠導入剤を使用されている患者は多い印象である。「寝るときの薬を変えたらふらふらする」との声を聞くときもある。実際、夜間のバランス状態・睡眠導入剤服用時のバランス機能はどう変化するのか気になり本論文に至る。
内 容
背景
●ゾルピデム(睡眠導入剤)の使用有無に関わらず、睡眠慣性(一過性のぼーっとした状態)が、歩行の安定性と認知を損なうか調査した。
方法
●予定睡眠の10分前に5ミリグラムのゾルピデムを服用する群とプラセボ群に分けた。
●2時間後にコンピュータ化されたパフォーマンス課題を使用して測定された。課題はつぎ足歩行と認知機能テスト(数学的な作業記憶・Stroop干渉課題)であった。
●参加者は就寝前の約160、90、60、および45分前に認知テストを4回行い、最後の2つのテストの平均を就寝前のベースラインとして使用しました。ゾルピデムと睡眠慣性の影響は夜の前半で最大になる可能性があり、参加者は予定された睡眠の110分後にテストされました。参加者は、まずつぎ足歩行のために用意された梁の端で5秒静止してから約5mつぎ足歩行を行うように指示されました。バランスは目を覚ましてから約1、15、および30分後にテストされ、認知機能はベッドで目を覚ましてから約6、20、および35分後にテストされました。
結果
●10回の練習試験でつぎ足歩行テストで失敗した人はいませんでした。ゾルピデムで治療された高齢者1.7人および若年者5.5人ごとに1人でタンデム歩行障害を示しました。高齢者と若年者の覚醒制御よりも、ゾルピデム服用後の認知機能は有意に低下しましたが、睡眠慣性は、若年者ではなく高齢者の認識力を著しく低下させました。
●タンデム歩行障害は転倒や股関節骨折を予測し、認知障害は安全に重要な影響を与えるため、非ベンゾジアゼピン系催眠薬の使用は、以前に認識されていたよりも健康と安全に大きな影響を与える可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●睡眠導入剤の服用の有無に関わらず、睡眠慣性は認知面を一時的に低下させるようである。さらに睡眠導入剤を使用した場合、バランス機能も併せて低下させる可能性がある。基本的に、リハ職では実際夜間の動きは見れず、看護師・介護士への情報収集が重要となる。特に夜間、頻尿の方や睡眠導入剤を服用されている方などは気にかけて情報収集する必要がある。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)