Vol.529.脳性麻痺患者に対するキネシオテーピングの手指機能への効果
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タイトル
●脳性麻痺患者に対するキネシオテーピングの手指機能への効果
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床で上肢機能障害に対してテーピングは簡易的に治療・評価として使用出来る印象があり、より学ぶべく学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●脳性麻痺患者(CP)の神経学的病変は進行性ではありませんが、筋骨格系病変は進行性と言えます。筋力低下や筋の不均衡、痛み、能動的および受動的な可動域の制限、手足の機能的使用不良などの二次的な筋骨格系の影響が見られます。
●CP患者の筋肉不足は、可動域、正確なタイミング、パワー、および手の操作スキルの制限につながる可能性があります。
●キネシオテーピングは、神経疾患のリハビリテーションに使用される比較的新しい技術です。当初はスポーツまたは整形外科の分野で使用され、その後、神経障害などの他の機能障害の補助療法として認められてきました。
●研究目的は脳性麻痺患者の手の握力と可動域に対するキネシオテーピングの効果を調査することでした。
方法
●CPの32人の子供がランダムに実験群(n = 17)と対照群(n = 15)に分けられました。
●今回の実験的研究では、キネシオテープは前腕と手背に適用されました。評価は、介入前、初回適用後、テーピング使用し2日後とテープの取り外してから2日後に実行されました。ゴニオメーターは、手関節背屈のアクティブな可動域を評価するために使用されました。さらに、握力の評価には握力計を使用しました。
結果
●初回適用後、適用し2日後、テーピングを取り外してから2日後は握力と手関節・母指のアクティブな可動域に実験群と対照群間に有意差がありました。 CPの子供たちの神経リハビリテーションにおけるキネシオテーピングは、手の力と手関節と母指のアクティブな可動域を促進するための便利なデバイスと言えます。
私見・明日への臨床アイデア
●テーピングは関節運動を正しい方向に誘導したり、逆に抑制したり筋制御の補助を行ってくれる。手の姿勢の良い状態で練習すると比較的その姿勢に繋がってくる印象である。装具を作成するにあたっても、簡易的評価ツールとなり得る。麻痺患者へのテーピングをしている療法士は比較的少ないと思うが重宝する為、是非試みてほしい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)