Vol.532.パーキンソン病患者の再発性転倒に関するシステマティックレビュー
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カテゴリー
タイトル
●パーキンソン病患者の再発性転倒に関するシステマティックレビュー
●原著はRecurrent falls in Parkinson’s disease: a systematic reviewこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●パーキンソン病患者の治療に最近関わらせていただくことが多く、より姿勢制御についての洞察を深めたいと思い本論文に至る。
内 容
背景
●パーキンソン病(PD)患者のほとんどの人は転倒し、多くの人が再発性に転倒を繰り返します。
●パーキンソン病(PD)患者は他の神経学的状態の人々の2倍の確率で転倒すると報告されています。この転倒は重大で、頻度も多く、しばしば怪我を引き起こし、転倒の恐怖心、活動レベルの低下、生活の質の低下および介護負担増大の一因となります。
●このレビューの目的は、再発性転倒の頻度を調査し、再発性転倒者に関連する要因を特定することでした。
方法
●PD患者の再発転倒に関する前向きに収集された情報を報告したジャーナル記事のデータベース検索により、22件の研究が特定されました。
結果
●これらの研究では、参加者の60.5%(35〜90%の範囲)が少なくとも1回の転倒を報告し、39%(18〜65%の範囲)が再発性の転倒を報告しました。再発性転倒者は、1人あたり年間平均4.7から67.6回の転倒を報告しました(全体で平均20.8の転倒)。
●再発性転倒の関連要因には、転倒歴の有無、疾患の重症度と発症からの期間、運動障害の増加、ドーパミンアゴニストによる治療、レボドパ投与量の増加、認知障害、転倒の恐怖心、歩行時のすくみ足、身体活動低下などがありました。
●PD患者が経験する再発性転倒の頻度の幅が広いことは、転倒頻度に基づいて再発性転倒者をサブグループに分類することが有益であることを示唆しています。特に再発性転倒に関連するいくつかの要因があることを考えると、特に再発性転倒者を対象とした転倒管理および予防戦略は、臨床診療に情報を提供するために緊急で評価を必要とします。
私見・明日への臨床アイデア
●パーキンソン病患者に対する運動療法は、薬と同様に重要と報告されています。運動時の俊敏性や可動範囲に対する介入、内部・外部cueをどのように扱うか、環境調整、運動療法を実施する時間帯の考慮はじめ種々の試みがなされています。廃用要素など改善できる部分と補償・代償が必要な部分と整理して患者と向き合っていきたいと思います。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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jhi
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)