Vol.540.慢性期脳卒中患者における上腕二頭筋及び上腕三頭筋の筋線維束長
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タイトル
●慢性期脳卒中患者における上腕二頭筋及び上腕三頭筋の筋線維束長
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者では上腕二頭筋・三頭筋の短縮や弱化を多くの人で見受ける。よりこの問題となるポイントの基礎的な背景を学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●脳卒中後の上肢機能障害は、weaknessや異常な筋シナジーなど、麻痺側上肢の運動障害が原因で日常生活動作に支障を来し、麻痺側上肢の使用に変化をもたらします。
●時間が経つにつれ、慢性的な不使用とその結果としての屈曲した肘の姿勢は、上肢の使用を制限し、機能的な可動性に影響を与える可能性のある筋骨格系の二次的な変化をもたらす可能性があります。
●研究目的は、慢性期脳卒中患者の麻痺側および非麻痺側上肢の筋線維束長を定量化することでした。片麻痺の影響により、肘を全範囲にわたって積極的に屈曲または伸展する能力が低下し、麻痺した上肢の屈曲姿勢を取りやすくなるため、上腕二頭筋の筋線維束長は比較的短くなると仮定しました。
方法
●データは、Fugl-Meyer評価スコアによって分類される中等度から重度の機能障害を伴う慢性片麻痺性脳卒中の11人の両上肢から収集されました。
●上腕二頭筋(長頭)と上腕三頭筋(外側頭の遠位部)の超音波画像は3つの肘の姿勢での受動的条件下および単一の肘の姿勢での能動的筋収縮中に各被験者の両上肢で観察しました。
●上腕二頭筋、上腕三頭筋、および腕橈骨筋のEMGは超音波画像取得中に表面電極(Delsys)を介して監視され、筋が受動状態に対してアクティブでないことを確認しました。
結果
●中等度から重度の慢性期上肢麻痺脳卒中患者において、超音波を利用し、上腕二頭筋(長頭)と上腕三頭筋(外側頭の遠位部分)の筋線維束の長さを測定した。
●すべての参加者にわたって、受動的条件下で、麻痺した四肢の上腕二頭筋と上腕三頭筋の両方で有意に短い束が観察されました。
●上肢間の平均筋束長の違いは、障害レベルと有意に相関し、より重度の障害のある参加者は、すべての肘の位置で上腕三頭筋と比較して、麻痺側上腕二頭筋の線維束の長さが大幅に短縮が観察されました。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では、上肢の障害が重度になるほど、屈筋(上腕二頭筋)の短縮が進行することが示唆された。その背景として、相反筋である伸筋の出力や屈筋自体のコントロール能力の低下(上腕二頭筋と椀頭骨筋との関係なども含め)、それに伴う不活動があると思う。その局所自体、基部となる肩や足腰の安定など臨床で丁寧に評価・介入していきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)