Vol.545.脳卒中患者の麻痺側の最大筋出力は関節角度に依存する!?
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タイトル
●脳卒中患者の麻痺側の最大筋出力は関節角度に依存する!?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者のトレーニングにおいて関節角度により出力が出やすい所・出づらい所があると感じる。筋出力と関節角度の関係性について学びたいと思い本論文に至る。
内 容
背景
●研究目的は、片麻痺患者の肘関節可動域全体における筋活動の分布を調査することでした。
方法
●麻痺側肘関節に十分な受動的な関節角度90度および能動的関節角度60度を有する片麻痺患者5名と対照群10名が研究に参加した。
●研究手順は、8つの異なる肘の関節角度で最大等尺性随意屈曲および伸展運動中に生成された5つの主要な肘の関節トルクおよび関連する筋電図信号の詳細な分析を実施した。アウトカムは各テスト位置での各筋の測定および正規化された最大等尺性随意屈曲および伸展運動の関節運動トルクと主要な5つの筋の筋電図信号でした。
結果
●片麻痺患者では健常者よりも全ての関節角度で等尺性の最大随意屈曲伸展運動時のトルクが優位に低かった(特にそれぞれ15度と30度、90度を超えた位置で対照群のそれよりも有意かつわずかに小さかった)。関節トルクと関節位置で描かれた曲線は不均一であった。複数の関節位置で筋出力を確認することは筋の活性化の特徴や戦略を特徴付けるのに役立つと思われる。
●最大随意屈曲運動中の屈曲位置での対照群の腕橈骨筋の活性化の有意な増加を示しましたが、片麻痺群ではそうではありませんでした。
●調査結果は、複数の関節位置の強度を測定することは、筋の活性化の戦略と特性の基本的な変化を特徴づけるのに役立ちます。
私見・明日への臨床アイデア
●特に片麻痺患者の筋出力は関節角度に依存する。出力しやすい部分から練習を始めるのも一つの手である。逆に、出力が苦手な部分をコントロールできるようにしていくことも課題になってくる。主動作筋自体のコントロール、主動作筋・拮抗筋の協調的、他関節との関係性を評価しながら丁寧に介入していきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)