Vol.557.頸部振動刺激が脳卒中患者の姿勢に及ぼす影響とは
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カテゴリー
タイトル
●頸部振動刺激が脳卒中患者の姿勢に及ぼす影響とは
●原著はThe effects of repetitive neck-muscle vibration on postural disturbances after a chronic strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●半側空間無視に対する頸部振動刺激は良く知られる。頸部の変化に伴い、バランスにも影響を与える事が考えられ、姿勢制御への影響を学びたく本論文に至る。
内 容
背景
●右脳卒中と左脳卒中患者の姿勢障害と空間認知に対する頸部筋振動刺激(rNMV)の効果をテストすることを研究目的としました。
方法
●32人(左脳卒中16名・右脳卒中16名)ずつの慢性期脳卒中患者(平均年齢60.9±10歳および脳卒中からの平均時間4.9±4年)は2週間にわたって10回の頸部振動刺激(rNMV)のセッションの治療プログラムを受けた。
●Weight Balance Analyzer(WBA)による姿勢パラメーター、バランス評価(Berg Balance Scale:BBS)、Timed Up and Go(TUG)、空間表現(subjective straight ahead:SSA)、longitudinal body axis (LBA), subjective visual vertical (自覚的身体垂直軸認知:SVV)および脳卒中後の障害(運動指数、感覚および痙縮)をテストし、データが病変側と時間係数で正規分布しているかどうかに応じて、ANOVAまたは線形回帰モデルによってデータを分析しました。
結果
●頸部振動刺激は右脳卒中患者のみで麻痺側下肢への有意な荷重シフトが見られ、左脳卒中患者では効果がなかった。
●左右どちらの患者群も、空間表現において大幅な変更は示さなかったが、即時効果と治療の終了後にて両群TUG・BBSの改善を示した。
●まとめとしては、頸部振動刺激(rNMV)は右脳卒中患者のみでWBAを修正するようであった。これは、頸部振動刺激(rNMV)が空間認知障害による姿勢障害の治療に効果的である可能性があることが示唆されています。
私見・明日への臨床アイデア
●頸部への振動刺激は、上記のように特に右脳卒中患者の姿勢障害や半側空間無視に有効であることが示唆された。上記以外に頭頚部を伸展固定している患者のコンディショニングとして頭頚部伸筋への振動刺激により一時的に屈筋を誘発しやすくするコンディショニングとしても有用であることを臨床では体感している。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)