Vol.558.パーキンソン病患者に対する聴覚刺激と視覚刺激の効果は同じ?
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タイトル
●パーキンソン病患者に対する聴覚刺激と視覚刺激の効果は同じ?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●パーキンソン病患者に対して、様々な手掛かりを用いた練習が為されているが、それぞれにより結果が異なるのか気になり本論文に至る。
内 容
背景
●研究目的は、「視覚的手がかり」と「聴覚的手がかり」の組み合わせが、個別に適用された手がかりよりもパーキンソン病(PD)患者の歩行パターンに大きな影響を与えるかどうかを判断することでした。
方法
●特発性のパーキンソン病の患者24名が研究に参加しました。
●患者は抗パーキンソン病薬を服用していない間にランダムな順序で実行された4つの条件(1.手がかりなし2.視覚的手がかりあり3.聴覚的手がかりあり4.両方の手がかりあり)のそれぞれを2回の試行中に7.62mの通路で歩行しその歩行パラメーター(平均歩行速度、ケイデンス、および歩幅)が測定されました。
●聴覚手がかりは、被験者の最大歩行速度より25%速いメトロノームで試行しました。
●被験者の身長の40%に等しい間隔で通路に沿って配置された鮮やかな色の平行線を視覚的な手がかりとしました。
結果
●パーキンソン患者に対する聴覚的手がかりはケイデンスを大幅に改善したが、視覚的手がかりは歩幅を改善した。
●聴覚と視覚の手がかりを同時に使用しても、各合図だけの場合よりも歩行が大幅に改善されることはありませんでした。
私見・明日への臨床アイデア
●ケイデンス(歩調)は連続性・ペースとも言え、聴覚刺激はコンスタントなペース作りに良いことが示唆される。それに対して視覚刺激はその都度の歩幅の改善に有効であることが示唆された。注意を双方に向けることは難しい可能性があり、多重感覚付与の場合はより自然な運動錯覚を引き起こすような科学的な工夫が必要そうである。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)