Vol.571.筋電駆動型のNMES(電気刺激)を使用した手関節背屈トレーニングの効果 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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タイトル
●筋電駆動型の電気刺激を使用した手関節背屈トレーニングの効果
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●種々の電気刺激治療を行う上で、それぞれの特性を学ぶべく、学習の一助として本論文を読むに至った。
内 容
目的
●NMESは活発な筋活動が困難な脳卒中患者に使用するため優れた治療法として報告されています。 NMESは、痙縮の軽減、筋肉の強化、骨密度の増加、可動域の回復、脳の感覚運動皮質への影響に効果的です。EMGによってトリガーされるNMES療法は、ある一定の閾値で電気刺激が起こり、特定の筋を積極的に収縮させ、患者が課題の実行を完了するのをサポートします。
●脳卒中患者の手関節背屈の回復のために、筋電図(EMG)によってトリガーされる神経筋電気刺激(NMES)を使用した反復的な手関節背屈課題トレーニングの効果を調査することでした。
方法
●脳卒中患者15名が研究に参加し、被験者はEMGによってトリガーされるNMES群(n = 8)またはコントロール群(n = 7)にランダムに割り当てられました。
●両群の被験者は、通常通り従来の治療を受けました。実験群の被験者はEMGトリガーのNMESを手関節の伸筋に1日2回20分ずつを週5日、4週間実施した。タッチしてアラームを鳴らすという課題を与えられました。
●対照群では、被験者は実験群と同じ期間と頻度で手関節の伸展を含む随意運動を行いました。評価は、治療前と治療後に実施されました。
結果
●EMGトリガーのNMES群では、コントロール群と比較しより速い筋肉の反応時間が観察され、トレーニング後の中間周波数も68.2Hzから75.3Hzに改善を示しました。
●筋電駆動型のNMESは上肢機能回復において脳卒中片麻痺患者にとって有益である事が示唆されました。
私見・明日への臨床アイデア
●運動単位を十分に参加させることが出来ない脳卒中患者では運動単位の動員の補助として電気刺激は有用である。IVESなどでは、筋収縮に伴いランプが光るなど視覚的Feedbackを用いる事も可能です。電気で刺激するタイミングが本人にとって違和感がないことは重要で、筋電駆動型のものは他者がタイミングを合わせるものより場合によっては効果的と思われます。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)