Vol.587.脳卒中後の筋萎縮の量は平均23%!?薄筋が肥大する原因とは?
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タイトル
●脳卒中患者における麻痺側の筋萎縮について
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床で脳卒中患者のほとんどの方で全身的な筋萎縮を有していることが観察され、脳卒中患者の筋萎縮について今一度学ぼうと思い学習の一助として本論文に至った。
内 容
背景
●「筋萎縮」は、脳卒中後の運動麻痺が原因として起こります。 筋力は筋の大きさと相関します。個々の筋の筋萎縮の量は、脳卒中後の全身的な力生成能力に影響を及ぼします。
●この研究では、15人の脳卒中患者の麻痺側下肢を用い筋萎縮をMRIを使用してその量を定量化しました。
方法
●すべての筋の体積は15人の両下肢で、非収縮性の組織の含有量を除外するように調整され、筋萎縮は麻痺側と非麻痺側の間の体積を比較することによって定量化されました。
●非収縮性の組織または筋肉内の脂肪の量は、筋量測定から除外された組織の量を決定することで計算されました。
結果
●薄筋を除いて、調べたすべての麻痺側の筋は、非麻痺側の体積と比べて小さいことが示されました。 これらの麻痺側の筋の体積の減少量の平均は23%でした。一方、薄筋の体積は麻痺側で約11%大きいことが分かりました。
●非収縮性の組織の量は、薄筋を除くすべての麻痺側の筋で大きく、両側で差は観察されませんでした。
●麻痺側の足関節底屈筋の弱化を補うために、麻痺側薄筋を使用すると、筋のサイズが大きくなり、筋内脂肪が発生しないという考えがあります。
●不均一な筋萎縮が筋全体で観察され、脳卒中後の歩行に対する筋萎縮の影響を評価する際に重要な手がかりを提供する可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●薄筋は腓腹筋の低緊張を代償しようと過活動になる事がある。麻痺側の股関節が上手く使用できていない場合にも、骨盤の回旋で代償した際に相対的に膝関節部で薄筋が過活動となる可能性もある。薄筋の過活動の背景には他部位の弱化があるため、臨床では根本的原因を改善したい。
●脳卒中患者では筋萎縮が生じやすい。根本的に筋力がなければ、自身の体重をコントロールするのが大変となる為、ベースアップは重要であると思う。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・筋萎縮・サルコペニア】関連論文
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)