Vol.595.脳卒中患者の歩行速度と体重移動(weight shift)の関係性
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中片麻痺患者の歩行速度と側方への体重移動(weight transfer)の関係性
●原著はControl of lateral weight transfer is associated with walking speed in individuals post-strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者の歩行において歩行速度は屋外で活動していくにも、遅いと不便と感じ引きこもりの原因ともなり得る。筋力は歩行速度に影響を与えるが、その他に歩行速度に影響する要因を考察するべく本論文に至る。
内 容
背景
●機能的な歩行速度の回復は、脳卒中後のリハビリテーションの重要な目標です。歩行中は、自立した機能的歩行のために、四肢間で体重を移動し、バランスの安定を維持する必要があります。脳卒中患者は一般的に麻痺側四肢への体重移動を行うのが困難であることが文書化されていますが、これらの問題が歩行速度の低下に関係しているかどうかはまだはっきりしていません。
●研究目的は、脳卒中後の歩行速度の遅い患者と歩行速度の速い患者間の体重移動特性を比較することでした。
方法
●慢性期脳卒中後片麻痺の参加者(N = 36)は、トレッドミル上で快適で最大の歩行速度で歩行しました。参加者は、快適な歩行速度(0.8m / s以上または0.8m / s未満)に基づいて2つのグループに分けられました。
図参照:Control of lateral weight transfer is associated with walking speed in individuals post-stroke
●COMからCOPまでの距離、体重移動のタイミング、ステップ幅、COMに対する横方向の足の配置、股関節モーメント、床反力および歩行速度の変化を分析しました。
結果
図参照:Control of lateral weight transfer is associated with walking speed in individuals post-stroke
●結果は歩行速度の遅い患者は、速い患者と比較して、麻痺肢への体重移動の遅延、より低い股関節外転モーメント、およびCOMと比較してより外側の麻痺側の足の配置で歩行していることが示されました。さらに、推進力と歩行速度能力は、横方向の体重移動能力に関連していました。
●これらの発見は、横方向の体重移動と安定性の問題が、快適な歩行速度の根底にある制限要因の1つであり、慢性脳卒中生存者の歩行速度を上げる能力の決定要因である可能性があることを示しました。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では体重移動が難しいことは一般的であり、weight shift trainingは良く実施される。その体重移動を歩行と関連させると体重移動に「速度」が必要となってくると思う。速度を求めた中で安定できるかということに着目していくことは重要である。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・歩行・体重移動・荷重】関連論文
●Vol.467.荷重練習後、一時的に歩行速度は低下する!?慢性期脳卒中患者の麻痺側荷重練習の影響
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)