Vol.599.低栄養が筋に及ぼす影響とは!? 脳卒中・脳梗塞リハビリ論文サマリー
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タイトル
●栄養状態が筋構造に及ぼす影響とは?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●身体機能を高めていくときに栄養を考慮することは大事であるが、低栄養の際にどのように筋が影響を受けていくのか特徴を十分に理解していないと思い、本論文に至った。
内 容
背景
● 栄養状態の変化は、若年の入院患者よりもむしろ高齢の入院患者に多く見られる。これら患者では、身体能力の低下は筋の退行的な構造的変化の程度と関係している。
●本研究では、内科病棟に入院している高齢者の栄養状態と筋の構造的変化との関連を調べることを目的とした。
方法
● 内科病棟に入院している68名の高齢者を連続的に登録しました。
●Mini Nutritional Assessment(MNA)スコアに基づいて、栄養状態が良好な群(WF)、栄養不良のリスクがある群(RM)、栄養不良の群(M)の3群に分けました。
●入院時に生化学的指標と体格の測定値を調べました。さらに,入院時と入院から7日後に,筋力(握力テスト),筋の質量(生体インピーダンス測定),構造(外側広筋の超音波検査)を評価しました。
結果
● 入院時には、栄養状態が良好な群とリスクのある群と比べて、栄養状態が不良な群では脂肪を含まない部分の量(無脂肪量)と筋肉量の割合が低かった。
●栄養状態が不良の群ではグループは他に比べて、筋肉の厚さと羽状筋の羽状角が小さくなり、筋力低下を示した。
●入院時のMNAスコアは、羽状角および筋力と正の相関があった。
●多変量線形回帰分析では、入院時の栄養状態が羽状角に影響を与える唯一の有意な因子であることが示された。
●最後に、入院後7日間は、調査したすべての群で羽状角の減少が見られた。栄養状態にかかわらず、筋構造は入院によって影響を受ける。
私見・明日への臨床アイデア
●低栄養は筋力低下だけでなく嚥下障害やADL低下とも関連すると言われる。低栄養状態でのトレーニングはエネルギー不足のために筋を分解しエネルギーを得ようとし、逆効果となる場合がある。入院患者の多くは栄養面にも問題を抱え入院されるため、リハ以前にまずは栄養状態など全身状態を確認して介入していく必要がある。
●入院すること自体、筋構造を変化させる可能性が示唆された。基本的な体力はつけられるように介入したい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)