Vol.623.ハムストリングスに対するFESが膝の曲がらない歩容を改善させるか? 脳卒中リハビリ論文サマリー
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タイトル
●ハムストリングスに対する機能的電気刺激が脳卒中後のstiff knee gaitを改善させるか
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者に対する電気治療を患者によっては実施している。臨床での電気治療の幅を広げたいと思い本論文に至った。
内 容
目的
●本研究の目的は、ハムストリングスの機能的電気刺激がstiff knee gaitで歩行する慢性期脳卒中生患者の膝の運動学的な改善をもたらすかどうかを調査することでした。
方法
●対象は16人の成人の慢性期脳卒中患者であった。被験者は5週間の期間中に1時間、週に3回、ハムストリングスの機能的電気刺激のトレーニングを受けました。
● 3次元の運動学的評価がトレーニング期間の前と5週間のトレーニング後に実施されました。
●トレーニング期間前の電気刺激なしの歩行の膝の運動学的パラメータを、5週間のトレーニング後の電気刺激ありの歩行と比較しました(介入効果)。 さらに、トレーニング期間前の刺激なしの歩行の膝の運動学的評価を、トレーニング期間後の電気刺激なしの歩行と比較しました(治療効果)。
結果
●介入効果は、ピーク膝屈曲角度で平均8.7°の有意な増加を示しました。
●治療効果は、平均3.1°のピーク膝屈曲角度の有意な増加を示しました。
●この探索的研究の結果は、stiff knee gaitで歩行される脳卒中患者のハムストリングスの機能的電気刺激後の歩行のスイングにおける膝の運動学的パラメータの改善を示唆しています。参加者がハムストリングス刺激ありで歩いたときに、スイングのピーク膝屈曲の最大の改善が見られました。
●神経障害のより少ない参加者は、ハムストリングスへの刺激に対してより良好な反応を示しました。また、その効果は単一のセッション中に予測できるという兆候がありました。機能的な電気刺激の効果は、ボツリヌス毒素や軟部組織の手術など、より侵襲的な治療オプションの効果に匹敵することが考えられます。
私見・明日への臨床アイデア
●機能的電気刺激はTAに用いられることが多いが、縛りがあるわけでなく柔軟に使用すると良いと思われる。Hamstringsへの刺激においても内外側でその反応は異なる可能性がある。Hamstringsと他筋との組み合わせも有用と思われ、機能的単位としても電気刺激は考えていきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)