立位の姿勢制御における上肢運動の関与とは!?脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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立位の姿勢制御における上肢運動の関与とは!?脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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今回のテーマ|立位の姿勢制御における上肢の関与とは?

 

 

カテゴリー|脳卒中    脳科学系 上肢

 

 

タイトル|ヒトが立位時に上肢の運動修正が行われた場合の姿勢調整

【論文引用元】
Postural adjustments for online corrections of arm movements in standing humans(クリックにてPubMedへ)
Leonard JA:J Neurophysiol. 2011 May;105(5):2375-88

 

 

 

論文内容

目的・対象

●ヒトが立位で上肢の運動中にどのように姿勢を調整するか調査するため、示指の動作間の上下肢の筋の運動修正を測定した。

 

●正中に合わせた前方の視標に(右手で)リーチする実験のなかで何度かターゲットの位置を中心から右側15°、30°、45°に設置した他の目標に転換した。

 

●対象者は健常者9人であった。ターゲットシフトの反応をビデオで撮って、上肢の運動時間、床反力、筋電図で測定した。

 

 

結 果

●立位姿勢で目標の位置が変移すると上肢が運動修正する間にターゲットシフトする方向と反対側の下肢で姿勢調整が先行した。

 

●さらに,姿勢調整は上肢の軌跡の修正とそれを担う上肢筋の活動に先行した,つまり中枢神経系は上肢の随意運動中の姿勢調整からのFeedbackに依存しないことを示唆している。

 

キャプチャ1

 

●運動と姿勢の命令はどのように上肢の運動に適合するかを簡略化モデルとして提案している。(APA : 予期的姿勢制御 , aAPA : 随伴性姿勢調整)

 

●(図の右側) reachを開始するための予期的姿勢制御と運動に伴う随伴性姿勢制御の双方の上肢運動を遂行するために指令の遠心性コピーは、予想した運動の差異を検出する。

 

●実際に実行されている予想したreach運動を反映する間ずっと(灰色のバーの上で),迅速なfeedback loopsを調整し、リアルタイムに動きを洗練し調整する。

 

●ターゲットシフトするとき,予想した運動は反映されず遅延が起こる。姿勢の指令に伴う調整(随伴性姿勢調整)は上肢の調整の前に起こらなくてはならない。姿勢が更新されると,上肢運動は予測的にonlineで修正されて目標に到達することができる。

 

 

明日への臨床アイデア・感想

●SchepensらDrewグループによって動物(猫)での先行随伴性姿勢制御が証明されているが、この実験は立位で行っており動物実験ではわからないヒトの身体活動をみている。

 

●また,reachの途中で目標が変わるため,運動前(予期的姿勢調整)と運動中(随伴性姿勢調整)の活動をみている点が特徴である。

 

●立位での予期的姿勢制御を脳卒中後遺症者に置き換えると,立位バランスの治療をするのであれば,非麻痺側でreachするためには麻痺側足部のankle strategyの評価が必要となるだろう。

 

●では,随伴性姿勢調整はどのように評価すれば良いのだろうか?随伴性姿勢調整は,上肢運動の修正前に行われており,中枢神経系は随意運動中の姿勢調整からfeedbackだけに依存しているのではなくOnlineで実行している。ADL課題など実際の動作を通してでないと評価・治療を進めていくことは難しく,こういった観点からtask-specific trainingの重要性がうかがえる。

 

併せて読みたい【姿勢制御・上肢】関連論文

●vol.295:50歳以上女性の立ち上がり動作と足部・上肢位置  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

 

●vol.284:移乗動作と上肢位置  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

 
 
 
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