脳卒中(脳梗塞・脳出血)片麻痺のリハビリ:上肢のリーチその①-1 リーチとは何か?~移送期(Transportation)~
週1回、今年医学書院より発売予定「正常動作分析と脳卒中への臨床応用」の内容の一部を配信しています。
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皆さんこんにちは.
週1ペースで更新していく書籍アップデートコーナー.
本日からは上肢の章!
上肢のリーチその①-1!!
リーチとは何か?~移送期(Transportation)~
です!!
リーチとは,「望む場所に随意的に手を近づけるよう位置づけていく行為であり,環境との相互作用である」と定義されています(McCrea et al 2002).
つまり,臨床場面においては単に手を伸ばすという「運動」ではなく,「知覚」・「認知」の側面があるため,対象物の形状や意味,周辺環境や目的を考慮してのアプローチが必須となってきます.
分類として,リーチは移送期(Transportation)と操作期(Manipulation)に分けられます.
今回は,認知的側面の多い移送期(Transportation)について述べていきます.
①開始肢位
○どの動作でもそうですが,対象物への認知もまだ行われていない,リラックス状態からリーチ運動も開始されます.
○「のどが渇いた」などの情動的モチベーションとそれに伴う環境把握(視覚システム)はこの段階からも発動されていることもあります.
②認知相
○視覚で確認した対象物と自身の固有感覚情報から得られる現状の身体システムを通じて,対象物と身体間の関係性を構築していきます.
○予測的な運動を企画していくために,空間上の様々な感覚情報(reference frame)を利用しながらPlanningしていく段階です.
移送準備期
○最新の身体位置と対象物の位置・距離・方向が明確化され,運動の発現へと至っていく段階です.
リーチ動作を理解するためには,解剖や運動学的視点だけでは不十分です.
知覚や認知的側面も踏まえた分析がより重要となってきます!
中枢神経系に問題を抱え,上手く情報を統合できない患者様においては,一層のこと緻密かつ具体的なアプローチ手段が必要とされます!!
つまり,大脳皮質を中心とした脳神経科学を理解することが必須となってくるのです!!!
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)