脳卒中(脳梗塞・脳出血)片麻痺のリハビリ:上肢のリーチその①-2 リーチとは何か?~操作期(Manipulation)~
週1回、今年医学書院より発売予定「正常動作分析と脳卒中への臨床応用」の内容の一部を配信しています。
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皆さんこんにちは.
週1ペースで更新していく書籍アップデートコーナー.
前回に引き続き上肢の章!
上肢のリーチその①-2
リーチとは何か?~操作期(Manipulation)~
です!
前回記事で,①リーチとは「望む場所に随意的に手を近づけるよう位置づけていく行為であり,環境との相互作用である」である,②移送期(Transportation)は認知的側面を多く含む,ことをお話させて頂きました.
リーチの相は,移送期(Transportation)と操作期(Manipulation)に分けられ,操作期は把持に向けた手の形(aperture)の調整段階となります.
今回は,移相期に脳内で処理・統合・計画が行われ,その後の動作実行に移行する操作期(Transportation)について述べていきます.
①移送操作期
●移送期にて,対象物が何で?(What経路)どこにあるのか?(Where経路)が処理され,頭頂葉・前頭前野・補足運動野で統合された予測的なリーチパターンが実行される段階です.
●移相期の段階で適切な認知処理が図られていない場合,この段階でフィードフォワード制御が困難となり,リーチ軌道に大きな影響を及ぼす可能性があります.
②操作期
●移送操作期でのリーチパターンの結果形成された手のformを,実際の対象物に適応させていく段階です.
●もちろん移送操作期と同様,移送期にて十分な認知処理・統合が図られなかった場合,対象物に対するPre-shapingやApertureの不適合が生じてしまい,拙劣な把握やピンチ操作となってしまいます.
上肢のリーチは「更衣動作の袖通し」,「トイレ動作時の手すりへのリーチ」といったADL場面や・・・
「歩行時の上肢のスイング」,「寝返り時の上部体幹の重心移動」などの基本動作にも間接的に関わってきます.
述べてきた内容を踏まえると,生活動作や基本動作への汎化は解剖・運動学的な側面だけでは不十分なことがわかります.
実際に動作を行う患者様が,動作の意図と実行により得られる結果をいかに照合しやすくさせるのか?
それが患者様自身の気づき(awareness)となり,生活場面での汎化へと繋がっていく可能性があります.
アプローチするセラピストの知識量とそれを臨床に落とし込む実践力が問われます!
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)