CMOP-E(カナダ作業遂行モデル)を理学療法士や作業療法士のキャリアアップ・キャリアデザインへ応用
CMOP-Eとは?
引用:https://musculoskeletalkey.com/canadian-model-of-occupational-performance-and-engagement/
この図は、カナダの作業療法パフォーマンスモデル(CMOP-E: Canadian Model of Occupational Performance and Engagement)の構成を示しています。CMOP-Eは、人、作業、環境の3つの主要要素が相互に影響し合うことを示すモデルです。以下は、図の簡単な解説です。
A. 人 (Person)
図の中心には「人」が配置されており、これは個人の特性や能力を示しています。人は以下の3つの要素で構成されています:
- 身体的 (Physical)
- 認知的 (Cognitive)
- 感情的/情動的 (Affective)
さらに、中心には「スピリチュアリティ (Spirituality)」があり、個人の価値観や信念を表しています。
B. 作業 (Occupation)
「人」を取り囲む三角形の部分は、「作業」を示しています。作業は以下の3つの領域で構成されています:
- セルフケア (Self-care)
- 生産性 (Productivity)
- レジャー (Leisure)
C. 環境 (Environment)
図の外側には「環境」が示されており、これには以下の要素が含まれます:
- 物理的環境 (Physical)
- 文化的環境 (Cultural)
- 社会的環境 (Social)
- 制度的環境 (Institutional)
D. 作業療法の領域 (OT Domain)
図の右側には「OTドメイン (OT Domain)」があり、これは作業療法の領域を示しています。作業療法は、人、作業、環境の相互作用に基づいて、個人のパフォーマンスとエンゲージメントを向上させることを目的としています。
CMOP-Eを起業・キャリアアップに展開する具体的戦略
CMOP-Eの視点を応用した作業療法士のキャリアアップ戦略
1. パーソン(Person)
作業療法士個人の特性やスキルを最大限に活かすための戦略を考えます。
- 自己評価: 自身の強みと弱みを評価し、キャリアアップに向けた目標を設定します。例えば、臨床経験、リーダーシップスキル、研究能力などの分野での自己評価を行います。
- 継続的な学習: 新しい技術や知識を習得するための継続的な教育を計画します。専門分野に関連する研修やセミナーに積極的に参加し、資格取得を目指します。
- スピリチュアリティ: 自分の価値観や信念を明確にし、それをキャリアの方向性に反映させます。自分が情熱を持てる分野や活動に焦点を当てることで、モチベーションを維持します。
2. 作業(Occupation)
自身のキャリア活動を具体的に計画し、実行します。
- キャリアプランニング: 短期および長期のキャリア目標を設定し、それに向けた具体的なアクションプランを作成します。例えば、次の数年間でどのようなポジションに就きたいか、そのために必要なスキルや経験は何かを明確にします。
- 役割の拡大: 現在の職務範囲を広げ、新しいプロジェクトやリーダーシップの機会を積極的に探します。これにより、多様な経験を積み、スキルセットを拡大します。
- ネットワーキング: 専門分野のネットワーキングイベントや学会に参加し、他の専門家との関係を構築します。これにより、情報共有や新しい機会を得ることができます。
3. 環境(Environment)
自身の職場環境や周囲のサポートシステムを活用し、キャリアアップを促進します。
- 職場環境の最適化: 職場のリソースやサポート体制を最大限に活用します。例えば、上司や同僚との定期的なフィードバックセッションを設け、キャリア成長に必要な支援を得ることが重要です。
- 学習環境: 学習や自己研鑽に適した環境を整えます。自宅や職場に静かな学習スペースを確保し、集中して学べる時間を設定します。
- コミュニティの参加: 専門職団体や地域のコミュニティ活動に参加し、知識やスキルを共有し合う機会を持ちます。これにより、最新の情報を得るとともに、プロフェッショナルとしての存在感を高めます。
4. 作業療法士としての活動(OT Domain)
作業療法士としての専門性を高める活動を行います。
- 専門性の強化: 特定のリハビリ分野に特化し、その分野のエキスパートとしての地位を築きます。例えば、特定の疾患に対するリハビリや新しい治療技術の習得を目指します。
- リサーチと出版: リハビリに関する研究を行い、その結果を学術誌や専門誌に発表します。これにより、業界内での認知度を高め、専門家としての信頼を築きます。
- 教育活動: 若手療法士の指導や教育活動に参加し、自身の知識と経験を共有します。これにより、自分自身のスキルも向上し、リーダーシップスキルを磨くことができます。
CMOP-EをSTROKE LAB代表金子のキャリアデザインへ応用
RBV理論によれば、企業や個人が持つ希少で模倣不可能なリソースや能力が持続的な競争優位性を生み出します。起業前のキャリアステージで僕が以下のようなリソースを蓄積したことが、成功の鍵となりました。
- 希少性: 他の作業療法士が持っていない専門知識や技術
- 模倣不可能性: 特定の技術や知識を独自に習得し、他者が簡単に真似できない状態
- 持続可能性: 継続的な学習と自己改善を通じてスキルや知識を時代の変化に適応させる
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)