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【認知症評価】 MoCA:Montreal Cognitive Assessment の 評価方法を実況中継で解説!

MoCAとは?

モントリオール認知評価(MoCA)は、軽度認知障害(MCI)の検出を目的とした迅速なスクリーニングツールとして設計されました。このテストは、Mini-Mental State Examination(MMSE)が軽度認知障害を持つクライアントと正常な高齢者を区別する感度が低いという問題に対応するために開発されました(Nasreddine et al., 2005)。MoCAは、MMSEで正常範囲内のスコアを示すが、記憶に関する不安を抱えているクライアント向けに設計されています。

認知領域の評価

MoCAは、以下の認知領域を評価することで、軽度認知障害を早期に検出することを目指しています:

  • 注意と集中: 短期記憶、視覚と聴覚の注意力の持続
  • 実行機能: 問題解決能力、計画、組織化、抽象的思考
  • 記憶: 新しい情報の記憶と再生
  • 言語: 名詞の流暢性、文の復唱、名前付け
  • 視覚構成技能: 視空間能力、視覚運動統合
  • 概念的思考: 抽象的思考、カテゴリー分類
  • 計算: 基本的な数的操作
  • 見当識: 日付、場所、時間の認識

評価項目と実施手順

 


1. Trail Making

教示:数字とひらがなを順番通りに線で結んでください。ここから始めて(“1”を指す)、1から“あ”へ、そして2へと線を描いていって、ここで終わってください(“お”を指す)。

採点:線が交差することなく、“1-あ-2-い-3-う-4-え-5-お”の順に結べたら1点。直後の自己修正以外のエラーがある場合は0点。


2. 視空間認知機能(立方体)

教示:これ(“立方体”を指す)をできるだけ正確に、下のスペースに書き写してください。

採点:正確に描けていたら1点。次の条件を1つでも満たしていない場合は0点。

  • 3次元として描かれている
  • 全ての線が描かれている
  • 余計な線が加えられていない
  • 線の並行関係が保たれており、長さが類似している(四角柱となっている場合は問題ない)

3. 視空間認知機能(時計描画)

教示:時計を描いてください。文字盤に数字をすべて描き、11時10分を指すよう針を描いてください。

採点:次の3つの基準で採点し、それぞれに対して1点を与えます。

  • 輪郭(1点):時計の文字盤が円形であること。わずかな歪みは問題ありません。
  • 数字(1点):数字が過不足なく描かれていること。正しい順番で、正しい位置に描かれていること。数字がローマ数字でも問題ありません。
  • 針(1点):長針と短針が正しい時間を指していること。短針は長針よりも短く描かれていること。2つの針が文字盤の中心でつながっていること。

4. 命名

教示:この動物の名前を教えてください(左から順に指していく)。

採点:動物の名前を正しく言えたらそれぞれに対して1点を与えます。

  • (1)ライオン
  • (2)サイ
  • (3)ラクダ

5. 記憶

教示:これから記憶の検査をします。今から単語をいくつか読み上げるので、それをよく聞いて覚えておいてください。読み終わったら、覚えている単語を教えてください。順番は気にしなくて構いません。(1秒につき1つのペースで単語を読み上げます。対象者が再生した単語に“第1試行”の欄にチェックを入れます。すべての単語を再生するか、それ以上再生できなくなったら次の教示を与えます。)同じ単語をもう一度読み上げますので、もう一度覚えてみてください。読み終わったら、覚えた単語をすべて教えてください。(再び単語を読み上げ、対象者が再生した単語に“第2試行”の欄にチェックを入れます。すべての単語を再生するか、それ以上再生できなくなったら次の教示を与えます。)検査の終わり頃に、これらの単語をもう一度思い出してもらいます。

採点:第1試行、第2試行とも得点は与えません。


6. 注意

順唱 教示:これからいくつかの数字を読み上げます。読み終わったら、同じように繰り返してください。(5つの数字を1秒につき1つのペースで読み上げる)

逆唱 教示:次は数字を逆から繰り返してください。(3つの数字を1秒につき1つのペースで読み上げる)

採点:正しく繰り返せたらそれぞれ1点。(逆唱では2-4-7が正答)

ビジランス 教示:ひらがなを読み上げるので、“あ”と言うたびに手を叩いてください。“あ”以外のひらがなを言うときは手を叩かないでください。(検査用紙に書かれたひらがなを1秒につき1つのペースで読み上げる)

※麻痺などで両手を使うのが困難な場合は、手を叩く代わりに片手で机などを叩いてください。

採点:エラーが1回以下の場合に1点を与えます。(エラー:“あ”のときに手を叩かない、または他のひらがなのときに手を叩く)

計算 教示:100から7を順に引いていってください。必要であればこの教示を2回与えます。

採点:3点満点。正答がない場合は0点、正答が1つの場合は1点、正答が2つから3つの場合は2点、正答が4つから5つの場合は3点を与えます。100から7を減算する際のそれぞれの計算において正誤を判断します。例えば、1回目の計算が間違っていても、2回目の計算で正しく7を引けていれば2回目の計算は正答とします。


7. 復唱

教示:これから文章を読み上げます。私が読んだ後に、正確に繰り返してください。 (間をとる)太郎が今日手伝うことしか知りません。(対象者が繰り返した後に次の教示を与える) それでは、もうひとつ文章を読み上げます。先ほどと同じように正確に繰り返してください。 (間をとる)犬が部屋にいるときは、猫はいつもイスの下に隠れていました。

採点:それぞれの文章を正しく復唱できたら1点を与えます。復唱は正確でなければなりません。(言葉を省略するなどの細かいエラーにも注意を払う)


8. 語想起

教示:これから私が言うひらがなで始まる言葉をできるだけたくさん言ってください。時間は1分間です。準備はよろしいですか?(間をとる)それでは、“か”で始まる言葉をできるだけたくさん言ってください。(60秒計測)止め。

採点:言葉を11個以上生成できれば1点を与えます。生成した語は下部もしくは側部の余白に記録し、生成した総数もカウントします。


9. 抽象的思考

教示:(単語のペアに共通するものを表す言葉をたずねます。例題から始めます。)“バナナ”と“ミカン”はどのように似ていますか?(もし対象者が具象的な共通部分を挙げた場合には、一度だけ次の教示を与えます)他の言い方はありませんか?(対象者が適切な反応(果物)をしなかった場合には次の教示を与えます)そうですね、また両方とも果物でもあります。(他の教示や明確な説明は与えません) (例題実施後)それでは、“電車”と“自転車”はどのように似ていますか?(回答後に次の問いを与えます)それでは、“ものさし”と“時計”はどのように似ていますか?(追加の教示や手がかりは一切与えません)

採点:それぞれの問題で次のような適切な反応が得られれば1点を与えます。

  • 電車-自転車:交通手段、旅行の手段、乗り物
  • ものさし-時計:測るもの、計測に使用するもの、計測器具

車輪がある、数字があるなどの反応は適切なものとはみなされません。


10. 遅延再生

教示:先ほどいくつかの単語を覚えてもらいました。今覚えている単語をできるだけ教えてください。(手がかりのない状態で覚えていたものとして“自由再生”の欄にチェックを入れます)

採点:手がかりなく再生できた単語それぞれに1点を与えます。
参考項目:遅延自由再生に続き、再生できなかった単語について意味的な手がかり(カテゴリ)を与えます。手がかり(カテゴリ)によって再生できた場合は、“手がかり(カテゴリ)”の欄にチェックを入れます。手がかり(カテゴリ)を与えても再生できない場合は、多肢選択試行として次のような教示を与えます。“次の単語のうちどれだと思いますか?”多肢選択によって再生できた場合は“手がかり(多肢選択)”の欄にチェックを入れます。

  • :手がかり(カテゴリ):身体の一部 多肢選択:口、顔、手
  • :手がかり(カテゴリ):生地 多肢選択:絹、麻、木綿
  • 神社:手がかり(カテゴリ):建物 多肢選択:神社、学校、病院
  • 百合:手がかり(カテゴリ):花 多肢選択:バラ、百合、椿
  • :手がかり(カテゴリ):色 多肢選択:赤、青、緑

採点:手がかりを与えた単語については得点としません。手がかり再生による得点は、記憶障害のタイプについての追加的情報としてのみ使用します。記憶障害が検索の失敗に起因している場合、手がかりによって再生成績は改善されます。記憶障害が符号化の失敗に起因している場合、手がかりによる再生成績の改善は見られません。


11. 見当識

教示:今日の日付を教えてください。(対象者の回答が完全でない場合は次の教示を与えます)今日は何年、何月、何日、何曜日ですか?(回答後に次の教示を続けます)それでは、ここは何市(区・町)ですか?(回答後に次の教示を続けます)それでは、この場所(建物)の名前は何ですか?

採点:正しく回答できた項目それぞれに1点を与えます。日付や名前については正確な回答でなくてはなりません。
合計得点:検査用紙の右側に記入した得点を全て合計します。教育年数が12年以下の場合には1点を加えます(最高30点)。合計得点が26点以上であれば健常範囲と考えられます。

スコアリングと解釈

MoCAの総得点は30点満点で、26点以上が正常とされます。スコアが26点未満の場合、軽度認知障害の可能性があります。教育年数が12年以下のクライアントには1点を追加します。

臨床での使用

MoCAは、記憶に不安を抱えるがMMSEでは正常範囲内のスコアを示すクライアントに特に有用です。脳卒中患者にも適用できますが、言語に依存するため失語症患者には適していません。また、代理回答者を使用することはできません。

代替版と翻訳版

MoCAには、学習効果を避けるために2つの代替版(バージョン2 & 3)があり、視覚障害者向けの修正版もあります。これらのバージョンは公式ウェブサイト(MoCA Test)で入手可能です。また、MoCAは多言語に翻訳されており、詳細も公式ウェブサイトで確認できます。

MoCAは、軽度認知障害の早期発見に有効なスクリーニングツールであり、様々な認知領域を包括的に評価します。教育年数や言語依存性に配慮しながら、適切に使用することが重要です。

実施時間と用具

MoCAの実施時間は約10-15分で、必要な用具はMoCAのテストシートと鉛筆だけです。

トレーニング

MoCAは医療専門家によって実施されるべきですが、正式なトレーニングは必要ありません。

代替版と視覚障害者向けのMoCA

MoCAには、学習効果を避けるために、繰り返し実施が必要な場合に使用する2つの代替版(バージョン2 & 3)があります。また、視覚障害者向けに修正されたバージョンも存在します。詳細は公式ウェブサイト(MoCA Test)で確認できます。

適用可能なクライアント

  • 脳卒中患者
  • MMSEで正常範囲内のスコアを持ちながら、記憶に不安を抱える個人

適用不可なクライアント

  • 失語症患者(言語に大きく依存するため)
  • 代理回答者を使用することはできない(直接観察によるタスク完了が必要なため)

 

実践例

登場人物

  • 金子先生:ベテランの療法士。
  • 丸山さん:60歳の男性、軽度の認知機能低下を疑われる患者。

ストーリー

金子先生は、リハビリテーションの一環として、丸山さんの認知機能を評価するためにMoCA-Jを実施することにしました。二人は診察室に入り、金子先生は丸山さんにMoCA-Jの各項目を順番に説明しながら進めました。


1. Trail Making

金子先生:「まずは数字とひらがなを順番通りに線で結んでみてください。ここから始めて(“1”を指す)、1から“あ”へ、そして2へと進んでいって、ここで終わってください(“お”を指す)。」

丸山さんは慎重にペンを動かし、順番通りに線を結びました。

採点:丸山さんはエラーなく、「1-あ-2-い-3-う-4-え-5-お」の順に結びました。1点


2. 視空間認知機能(立方体)

金子先生:「これ(“立方体”を指す)をできるだけ正確に、下のスペースに書き写してください。」

丸山さんは集中して立方体を描きました。

採点:丸山さんは3次元として描かれ、全ての線が描かれ、余計な線がなく、線の並行関係も保たれていました。1点


3. 視空間認知機能(時計描画)

金子先生:「時計を描いてください。文字盤に数字をすべて描き、11時10分を指すよう針を描いてください。」

丸山さんは円形の文字盤を描き、数字を正しい位置に配置し、針を描きました。

採点:文字盤は円形で、数字は過不足なく正しい順番に描かれ、針は正しい時間を指していました。3点


4. 命名

金子先生:「この動物の名前を教えてください。」(左から順に指していく)

丸山さん:「ライオン、サイ、ラクダ。」

採点:動物の名前を正しく言えました。3点


5. 記憶

金子先生:「これから記憶の検査をします。今から単語をいくつか読み上げるので、それをよく聞いて覚えておいてください。読み終わったら、覚えている単語を教えてください。順番は気にしなくて構いません。」

丸山さんは最初の試行で4つ、2回目の試行で5つの単語を再生しました。

採点:第1試行、第2試行ともに得点は与えられません。


6. 注意

金子先生:「いくつかの数字を読み上げるので、同じように繰り返してください。」

順唱:丸山さんは正しく繰り返しました。1点

逆唱:丸山さんは2-4-7を正しく繰り返しました。1点

ビジランス:丸山さんはエラーなく、“あ”の時に手を叩きました。1点

計算:金子先生は「100から7を順に引いていってください。」と言い、丸山さんは93, 86, 79, 72, 65と正しく計算しました。3点


7. 復唱

金子先生:「これから文章を読み上げます。私が読んだ後に、正確に繰り返してください。」

文章1:「太郎が今日手伝うことしか知りません。」
文章2:「犬が部屋にいるときは、猫はいつもイスの下に隠れていました。」

丸山さんはどちらの文章も正確に復唱しました。

採点:どちらの文章も正しく復唱できました。2点


8. 語想起

金子先生:「“か”で始まる言葉をできるだけたくさん言ってください。」

丸山さんは1分間で13個の言葉を生成しました。

採点:11個以上生成できました。1点


9. 抽象的思考

金子先生:「“電車”と“自転車”はどのように似ていますか?」
丸山さん:「交通手段です。」
金子先生:「“ものさし”と“時計”はどのように似ていますか?」
丸山さん:「計測器具です。」

採点:適切な反応が得られました。2点


10. 遅延再生

金子先生:「先ほどいくつかの単語を覚えてもらいました。今覚えている単語をできるだけ教えてください。」

丸山さんは3つの単語を自由再生できました。

採点:自由再生で3つの単語を再生できました。3点


11. 見当識

金子先生:「今日の日付を教えてください。」
丸山さん:「今日は2024年7月24日、月曜日です。」
金子先生:「ここは何市ですか?」
丸山さん:「東京都。」
金子先生:「この場所(建物)の名前は何ですか?」
丸山さん:「東京都健康長寿医療センター。」

採点:正しく回答できました。6点


合計得点

丸山さんの合計得点は27点で、これは健常範囲に入ります。


金子先生:「丸山さん、非常に良い結果でした。認知機能に問題はないようですね。これからも引き続きリハビリを続けて、健康を維持していきましょう。」

関連論文

  1. Montreal Cognitive Assessment (MoCA): Concept and Clinical Review この論文では、MoCAの開発、構造、臨床での応用について広範囲にわたり説明しています。MCI(軽度認知障害)を検出する際の感度と特異性、および異なる集団や条件での使用について述べています。 詳細はこちら (SpringerLink)​。

  2. The Psychometric Properties of the Montreal Cognitive Assessment (MoCA) この研究は、MoCAの心理測定特性、特に高齢者における信頼性と妥当性を評価しています。テストの迅速な実施方法と、さまざまな年齢層での認知障害の識別能力について論じています。 詳細はこちら (SpringerLink)​。

  3. Montreal Cognitive Assessment for Evaluating Cognitive Impairment in Multiple Sclerosis: A Systematic Review この論文は、多発性硬化症患者における認知障害の評価におけるMoCAの正確性に関する証拠を系統的にレビューしています。研究結果の包括的な分析と、この特定の集団におけるテストの適用について論じています。 詳細はこちら (SpringerLink)​。

  4. Montreal Cognitive Assessment (MoCA): Validation Study for Vascular Dementia この研究は、血管性認知症に関連する認知障害をスクリーニングするためのMoCAの妥当性に焦点を当てています。血管性認知障害と他のタイプの認知症を区別する上でのテストの有用性と正確性をサポートするデータを提供しています。 詳細はこちら (Cambridge)​。

  5. Validity and Applications of the Montreal Cognitive Assessment for the Detection of Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Disease この論文は、MoCAの妥当性プロセスと、軽度認知障害およびアルツハイマー病の検出における有効性について論じています。テストの感度と、教育がテストのパフォーマンスに与える影響を強調しています。 詳細はこちら (Cambridge)​。

これらの論文は、さまざまな認知障害や条件におけるMoCAの臨床応用、妥当性プロセス、有効性についての貴重な洞察を提供しています。詳細については、提供されたリンクを通じてフルテキストにアクセスできます。

これらの論文は、MoCAの多様な応用とその有効性を示すものであり、臨床実践における利用に関する重要な知見を提供しています。

 

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