vol.140:拘縮と固定期間の関係 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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vol.140:拘縮と固定期間の関係 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー

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カテゴリー

バイオメカニクス

 

 

 

タイトル

拘縮と固定期間の関係Quantitative and temporal differential recovery of articular and muscular limitations of knee joint contractures; results in a rat model?Journal of Applied Physiologyへ Guy Trudel.et al.(2014) 

 

 

 

本論文を読むに至った思考・経緯

•現在、ケアをしないと拘縮を引き起こしそうな方を担当している。拘縮の知識整理の一つとして本論文に至る。

 

 

 

論文内容

研究目的・背景

•関節拘縮は、関節および筋構造の機械的特性を変化させる。拘縮の可逆性は筋・関節構造の弾性の回復に依存する。

 

•本論文では、固定後の自然回復による膝屈曲拘縮に対する関節および筋構造の違いを調査しました。

 

研究方法

 

•ラットの膝関節を6つの異なる時間(1・2・4・8・16・32週間の6期間)屈曲位で固定させ、様々な重症度の関節拘縮を作製した。

 

•作り出した関節拘縮に対し、①固定を取り除いた後に自然回復をさせる②直後に筋切開し拘縮改善を図る方法を取った。

 

研究結果

 

•短期間(1~2週間)の固定直後、筋切開を行うとベースラインまで膝伸展角度を取り戻した。

 

•1週間固定後の1週間かけての自然回復は、膝伸展可動域を改善させた。

 

•2週間固定後では2~4週間の自然回復ではベースラインと比較し伸展制限を残したが、8週間かけると膝伸展角度の回復が示された。

 

• 4・8・16および32週間の固定は漸進的に膝の伸展角を減少させ不可逆的な関節拘縮を示した。

 

•長期間固定された関節拘縮においては固定解除の直後に筋切開術を行ってもベースラインの膝伸展角度への改善は図れなかった。

 

 

 

興味深かった内容

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•現在、研究で使用されているラットモデルでは、後関節包は膝関節が屈曲する時に折り畳まれるような構造をしている。膝を伸ばすと後関節包が完全に伸展する。コンスタントに動きが続けられる、接触阻害しない、また滑液のために、折り畳み構造の内膜が互いに滑り合う。

 

•屈曲固定は、このホメオスタシスを変化させます。折り畳み構造の滑膜ひだは粘着性(癒着となる)になり、後関節包の内膜の長さを減少させる。

 

•ラットの膝屈曲拘縮モデルでは、内膜の長さは固定の16週間後に正常値である8.6mmから1.4mmに減少し、これは84%のかなりの短縮であった。

 

•関節包の滑液層では滑液をより少なく生成する。加え、関節包は、コラーゲン線維の不規則な配列、I型コラーゲンの増加、および進行した終末糖化産物によって特徴付けられる。

 

•これらの不可逆的な関節の変化によって、関節拘縮に対するリハビリを行ってもなかなか改善が図れないという事が起こってしまう。

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

•臨床では上記の様に固定されたわけでなく、長期臥床、長時間の車椅子座位生活、著明な機能低下や疼痛に伴い動きたくても動けないなど「固定」というよりも「動けない」方を多く見受ける。論文のの「自然回復」という言葉には、自発的な運動が含まれると思われる。固定が外れてラットがおそらく活発に動くので改善する。「体動」という言葉が当然鍵になると思われる。拘縮が懸念されるような方は、どうしても他職種・家族などと協力(マンパワー)を要す。時間が経過されている方は、短縮や異常筋緊張場合によっては疼痛などもあり、ただ動かせば良いという状態でなくなっている場合もあり、そこには専門家(リハ職)のアドバイスを要すと思う。

 

•ベッドに寝ているというよりは「倒れている」(車椅子でも同様)という状態の方も多いと思われる。可能な限り能動的・抗重力的・姿勢筋緊張を考えた姿勢作りを出来るよう試行錯誤していきたい。拘縮予防のROMexを行う方も多いと思われるが、そのROMexを行う際のセッティングもただ臥位で行うのでなく、同様の姿勢作りが大切と思われる。

 

•何にせよ、不可逆的な拘縮を作らない事は使命である。

 

 

 

 

氏名 覚正 秀一

職種 理学療法士

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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