vol.145:脳卒中者のバランスと不安定板:脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
動的バランスとCOPの変化に対する不安定板上での足関節制御エクササイズの効果
The effects of ankle strategy exercises on unstable surfaces on dynamic balance and changes in the COP.
?pubmed Park KH, J Phys Ther Sci. 2016 Jan;28(2):456-9.
本論文を読むに至った思考・経緯
・臨床コースにて足部を中心にアプローチすることが増え、足関節制御についても話題に上がることが多い。今回足関節制御に対し直接的にアプローチしている論文を見つけ、その効果を知りたいと思ったため、ブログに掲載することとした。
論文内容
論文背景・目的
・足関節制御は小さな動きで身体重心を制御することができるため、姿勢制御や歩行の効率化において重要な役割を担う。
・脳卒中者では足関節の機能低下によりこの制御を使うことが難しくなる。
・不安定板上でのバランス練習は固有受容感覚、筋出力、動的バランスに効果があると考えられるが、論文上で検証したもの少ない。そのため、本論文では不安定板上での足関節制御に着目したエクササイズの効果を検証する。
研究方法
・30名の脳卒中者(発症から少なくとも半年以上経過)を無作為に3群に分けた
・Group A(足関節制御エクササイズ群):不安定板上での立位保持→Group Bのバランス練習
・Group B(バランス練習群): 3つのバランス練習①骨盤前方移動かつ体幹左右回旋②歩行③立位リーチ動作での重心移動練習
・Group C(対照群):神経発達学的アプローチ
・Group AとBは神経発達学的アプローチに加え、それぞれの治療を一回15分、週3回を6週間行った。
・アウトカムはCOP移動距離、Berg Balance Scale(BBS)、Timed up and go test(TUG)、Functional Reach Test(FRT)を介入前後で比較した。
Functional reach testのお役立ち動画↓↓↓
バーグバランススケール↓↓↓
TUGお役立ち動画↓↓ https://youtu.be/w9rg54f3vNo
研究結果
表:実験結果
Park (2016)より引用
・すべての群のすべての項目で介入前後の値に有意差が得られた。
・Group AのCOPの側方移動距離、BBS、TUGはGroup B,Cに比べて有意に改善量が大きかった。
・Group AのCOPの前後移動距離と総移動距離はGroup Cに比べて有意に改善量が大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・不安定板上での足関節制御エクササイズが最もCOP移動量の減少に効果があった。本研究でどういった不安定板を使用したかは定かではないが、「不安定なところに立つ」ととても簡便な方法によって、身体動揺の減少と動的バランスの向上が得られるならば、自主トレーニングとして提供しやすいのではないだろうか。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)