vol.178:脳卒中後の代償運動はどのようなものか? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
脳卒中後の自然回復における代償運動の役割
The role of compensatory movements patterns in recovery after stroke
?PubMed Kyoung-Hee Lee J Phys Ther Sci. 2015 Sep; 27(9): 2671–2673.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・代償運動は臨床において日々遭遇するものである。今回、動物実験で代償運動と脳卒中後の自然回復を検討した論文をみつけ、興味深かったため読むことにした。
内 容
背景・目的
・代償運動は脳卒中患者によくみられる運動である。代償運動が回復を阻害することもあれば、代償運動によってできる動作が増えることも事実である。
・代償動作が自然回復にどう影響するか調べた論文は少ない。本研究では脳卒中後の機能面の回復過程における代償運動の役割を検討する。
方法
・12匹の8週齢雄ラットを3群に分けた
・コントロール群(C)4匹、運動野損傷群4匹(MC)、感覚運動両野損傷群(SMC)4匹
・リーチ動作の成功数と代償動作の有無を記録した。
結果
表:実験結果
・脳卒中両群は体幹回旋、頭部伸展、前腕回外障害がみられた。SMC群では前肢の屈曲障害、餌の把握ミス(おそらく空振り)がみられた。
・SMC群では代償運動の増加に伴い、リーチ動作の成功数(餌を食べることができた)が増加した。
・MC群では代償運動とリーチ動作成功数に有意な相関が見られた。
私見・明日への臨床アイデア
・代償運動が増えることでリーチ動作の成功数は増加した。機能面の自然回復に代償動作がどう影響するか、が本論文の目的だったが、アウトカムはリーチ動作の成功率であり機能面の向上には触れられていなかった。
・代償動作によって生活が自立することは多い。そのため、代償動作を否定するつもりは全くないが、代償動作が疼痛や耐久性の低下の原因となっていることもある。代償動作がその人の生活において問題となっているのかどうか、見分けたうえで対応できるようになりたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)