vol.183:脳卒中者の肩関節亜脱臼に対するスリングエクサイズの効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
脳卒中者の肩関節亜脱臼に対するスリングエクササイズのX線画像的解析
Radiographic Imaging Analysis after Sling Exercises for Hemiplegic Shoulder Subluxation
Myung-kwon Kim Journal of Physical Therapy Science?Jstage Vol. 24 (2012) No. 11 December(1) p. 1099-1101
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中者の亜脱臼を臨床にてよく目にする。スリングエクササイズの有効性を検証した論文を見つけ、臨床に活かせるかもしれないと考え読むことにした。
内 容
背景・目的
・麻痺と痙性は脳卒中者の一般的な症状であり、肩関節亜脱臼を呈することも多い。
・治療には電気刺激などがあるが、スリングエクササイズも行われている。本研究ではこのスリングエクササイズの効果を検証する。
方法
・34名の脳卒中者を2群に分けた。
・対照群は一般的理学療法を週5回、8週間、実験群は一般的理学療法に加え、スリングエクササイズを毎日30分間追加で行った。スリングエクササイズは腱板筋の強化が目的で、外内転と外内旋の等尺性収縮を行わせた。
図:X線画像の計測方法
※OD:肩峰の最下端から上腕骨頭中心の直線距離
VD:肩峰の最下端から下した垂線の、上腕骨頭中心までの距離
HD:関節窩から上腕骨頭までの距離
・OD、VD、HDを関節窩の長さで除した値をcOD、cVD、cHDとした。また、rVD、rODはそれぞれの麻痺側、非麻痺側の比を表したものとした。
結果
図:実験結果
・cVD、rVD、rODにおいて、スリングエクササイズ後に介入前後の差がみられた。
・cVD、rODでは実験群は対照群より有意に改善がみられた。
私見・明日への臨床アイデア
・スリングを用いた肩関節運動で脳卒中者の亜脱臼に対して効果があることが示唆された。X線画像で効果判定しているため信頼性が高い結果なのではないかと私は感じた。実際に利用者様に使う前に、スリングエクササイズの最中の患者の反応や、練習後の上肢運動機能や疼痛の有無も知りたいと感じた。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)