vol.192:帽子の違いによる視覚とバランス 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!?上記写真をClick!!?
カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
帽子の違いによる視覚とバランスの変化
Change in Visual Perception and Balance Caused by Different Types of Hat?PubMed Hyolyun Roh, J Phys Ther Sci. 2014 Feb; 26(2): 199–201.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
夏場のため熱中症予防として帽子の着用を利用者様に勧めるが、帽子によって視覚やバランスに影響を与える可能性があると本論文は述べている。興味深かったためブログに掲載することにした。
内 容
背景・目的
・帽子はファンション性だけでなく頭部の保護や紫外線からの保護など機能的側面もある。帽子はつば付きのもの、フードのように頭全体を覆うものなど様々なタイプがあり、視覚情報に影響を与えるものもあると思われる。
・視覚と上肢やバランスに影響するのは日常生活にて日々感じるところである。今回、帽子の違いがバランスや眼と手の協調性にどう影響するかを検討する。
方法
・使う帽子は以下のものとした。
①つばが帽子全体にあるもの
②つばが前方のみにあるもの
③つばがなくフードとして頭部全体を覆えるもの
・Modified Berg Balance Scale(MBBS)、Minnesota Manual Dexterity Test (MMDT:目と手の協調性検査。ペグボードに近い)、Dynavision2000(壁に点灯する光と手で触る)をアウトカムとした。
結果
表:実験結果
・BBSにて群間の有意差がみられた。最も点数が低かったのは①つばが全体にあるものだった。
・MMDT(眼と手の協調性の評価、ペグ課題に要した時間)では群間の差が見られなかったが、①つばが全体にある帽子が最も時間を要していた。
・DYNA(視野の評価、壁上で点灯するライトを素早く触る)では群間の差がみられ、最も結果が低かったのは①で、②つばが前方のみにある、③フードの順にスコアが良くなった。
私見・明日への臨床アイデア
・帽子のつばが大きいほど視野が狭くなり、DYNAのスコアが低下する傾向が見られた。最も視野の狭くなる①つばが頭部全体にみられる帽子でBBSの値も最低値を示しており、視野が狭まった結果であると思われる。
・帽子によって視野にどう影響が出るか、バランスや歩容にどう変化が生じるか評価することも臨床上必要かもしれない。
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
病院内 スタッフ育成サポート
スタッフ教育を効率的に進めてみませんか?
ハンドリングや中枢神経系への教育は、STROKE LABへご相談ください。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)