vol.208:腹横筋における単一収縮と動作時収縮の比較 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
腹横筋の厚さと姿勢保持に対する、深部腹筋の選択的運動と腰椎安定化運動の効果
Effects of selective exercise for the deep abdominal muscles and lumbar stabilization exercise on the thickness of the transversus abdominis and postural maintenance?PubMed Jung-seok Lee J Phys Ther Sci. 2015 Feb; 27(2): 367–370.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・体幹コースにて腹圧に着目しながら起居動作へのアプローチを練習している。腹横筋の単一的な収縮と動作の中での腹横筋収縮を比較した論文をみつけ、どちらに効果があるのか知りたかったため読むことにした。
内 容
背景・目的
・コアの筋トレとして、①選択的に単一の筋を収縮させる方法と②動作を通して複合的に鍛える方法の2種類考えられる。
・①として腹部のドローインがあり、これは腹斜筋の活動を伴わず、選択的に腹横筋の収縮を促すことができる。
・②として不安定免での腰椎スタビライゼーションエクササイズがあり、骨盤と体幹の位置を修正しようとすることで体幹下部全体を高めることを目的とした運動である。
・本研究は腹部ドローイン(腹横筋の選択的収縮)と腰椎スタビライゼーションエクササイズを比較検討する。
方法
・30名の健常成人
・腹部ドローインは背臥位にて行った。引き込む量を被験者がフィードバックできるよう機器を用いて一定のドローインを促した。
・腰椎スタビライゼーションエクササイズとして、①背臥位にて頭部屈曲②サイドブリッジ③四つ這い位で対側上下肢挙上
・アウトカムとして(a)腹横筋の筋厚、(b)背臥位にて一側下肢をスイスボール上に置き、他側を挙上した姿勢の保持時間を計測した。介入前と介入5週後の比較とした。
結果
表:実験結果 Jung-seok Lee (2015)より引用
・(a)腹横筋の筋厚は介入前後、群間ともに有意差は見られなかった。
・(b)スイスボール上の姿勢保持は介入前後で数値の向上は見られたが、有意差はなかった。群間も有意差もなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・腹部ドローイン、腰椎スタビライゼーションエクササイズともに結果はでなかった。腰椎スタビライゼーションエクササイズのような被験者がセルフで行う動作だけでは腹横筋の収縮や腹圧を高めることはおそらく難しいと思われる。
・臨床コースでは座位や起居動作などの基本動作に徒手的な操作を加えることで意図的に腹部内圧を高めさせる練習をしている。利用者様や患者様に同様の動作を行っていただくとしても、セラピストのハンドリングで何倍もの効果を出すことが私たちの役割ではないかと感じた。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)