vol.220:頭頚部の姿勢と咬筋の活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
頭頚部の姿勢と咬筋の活動
Influence of different upper cervical positions on electromyography activity of the masticatory muscles.?PubMed Ballenberger N et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・PT視点から間接的に嚥下に対しても考察できるようになるため、本論文に至る。
内 容
目的
・研究目的は、食いしばった状態(等尺性収縮)で、上位頸椎の異なる位置に対する咬筋および側頭筋前部の活動をEMGを用いて調査することであった。
方法
・無症状の25人の被験者(13人の女性および12人の男性、平均年齢31歳、平均身長174cm、平均体重71kg)が参加した。
・咬筋および側頭筋前部のEMG活動は、上位頸椎が①ニュートラル②伸展③屈曲④同側側屈⑤対側側屈⑥最大屈曲+同側回旋⑧最大屈曲+対側回旋の間で左右に記録した。
結果
・咬筋のEMG活活動に関して性別または左右差において有意差は認められなかった。
・頭部位置に応じて左右の咬筋に異なるEMG活動が観察された。有意差は、屈曲と伸展、ニュートラルと屈曲位、ニュートラルと左右側屈間において認められた。左右の側屈または左右の回旋間での差異は見られなかった。
・咬筋の活動はEMG活動は伸展位にて最も出力が高く、次いでニュートラルにおいて出力が高い。その他は、ニュートラルと比較し、低い結果となっている。最も屈曲位において低く、左側屈であれば左咬筋の活動低下が観察されている。
・この研究は、上位頸椎(頭部)の動きが咬筋のEMG活動に影響することを示唆している。
・側頭筋前部のEMG活動は統計的に有意差を生じなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・頭頚部の屈曲姿勢は咬筋の活動を低下させ、咀嚼能力を低下し得る。ニュートラルポジションを取れている事は咀嚼に関してポジティブ因子と言える。
・口、顎のAPAs制御としても頸椎の状態は評価し、促通すべきである。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)