vol.231:膝蓋骨脱臼とQ-angle/大腿脛骨の相対的回旋 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
膝蓋骨脱臼とQ-angle・大腿脛骨の相対的回旋
Femorotibial rotation and the Q-angle related to the dislocating patella.?PubMed J. Sanfridsson et al.(2001)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・膝は中間関節として話されることが多いが、膝に丁度位置する膝蓋骨について考えようと思い、本論文に至る。
内 容
背景
・膝蓋骨脱臼の重要な因子として、Q-angleによって形成される横方向の力のベクトルが含まれ、膝蓋骨脱臼の外科的処置の多くは、この角度を減少させることを目的とする。
・膝蓋骨の動きは、大腿骨、脛骨および膝蓋骨の間の複雑な三次元運動にから成る。この運動の解剖学的基礎は、関節表面、骨構造のアライメント、半月板、靭帯、および筋肉の間の相互作用である。
目的
・本研究の目的は、80人の健康なボランティアで構成する基準グループと膝蓋骨脱臼群の左右の大腿脛骨の回旋・膝蓋骨の変位量・股-膝-足の角度とQ-angleを比較することであった。
方法
・80人の健康なボランティアによって正常値が事前に測定されていた。
・本研究では、膝蓋骨の脱臼を伴う28人の患者(女性20人、男性8人)を左右に検査した。14人は常習的な膝蓋骨の変位および14人の膝蓋骨の外傷性転位を有していた。
・臨床的に測定されたQ-angleは、X線によって測定されたものと比較された。
結果
・膝蓋骨が習慣的に変位している膝では健常群の膝よりもわずかに外反を示した。
・膝蓋骨が習慣的に変位している群の罹患側では大腿骨に対するsemi flextionからextentionまでの脛骨の相対的な外旋は、健康対象群の5.9度に対し、8.5度であった。罹患していない膝では、回旋は対象群より約4°大きかった。罹患していない側の膝と比較して、罹患した膝の相対回転が小さくなる傾向があった。
・膝蓋骨脱臼群において、膝蓋骨の側方並進運動は、健常群と比較して約3.5mm増加した。
・膝蓋骨が習慣的に変位している群は、脛骨と大腿間のより大きな相対的な回旋・膝蓋骨の変位を有していた。
私見・明日への臨床アイデア
・膝蓋骨に付着する軟部組織は大腿・下腿に付着する。そのため、大腿・下腿の骨の変位や軟部組織の緊張や癒着などの影響を受ける。Qangleの増大やFTA減少は脱臼しやすいと言われるが、そのような骨関節的な面と軟部組織のバランスなどを総合的に評価し、そのバランスを可能な限り整えていくことで、膝蓋骨は伸展位ではその自由度を生かすことができ、屈曲位では膝蓋大腿関節など関節の適合性(膝蓋骨とsulcusの適合)を高める事ができると思われる。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)