vol.252:恥骨筋・梨状筋の様々な運動中の活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
恥骨筋・梨状筋の様々な運動中の活動
Recruitment and activity of the pectineus and piriformis muscles during hip rehabilitation exercises: an electromyography study.?PubMed Giphart JE et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・恥骨筋や外旋六筋など股関節周囲筋への介入時に理解の乏しさを感じ、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
・恥骨筋は、主に股関節屈筋として機能し、副次的に股関節内旋筋として機能することが報告されている。
・梨状筋は股関節の外転および外旋筋として機能することが報告されている。
・股関節リハビリテーション訓練中のこれらの筋の動員および活性化は詳述されていない。
・著者らは、股関節屈曲を伴う練習中に最も高い恥骨筋の活性を測定し、股関節内旋を伴う練習中に適度な恥骨筋活動を測定すると仮定した。
・また、股関節外転又は外旋を伴う練習中に最も梨状筋の活性を測定すると仮説した。
方法
・10人の健康なボランティアが、恥骨筋および梨状筋の筋腹に筋電図(EMG)電極を用いて股関節訓練を行った。 EMG信号を記録し、運動活性レベルを最大随意収縮(MVC)のパーセンテージとして報告した。
結果
・仰臥位の股関節屈曲訓練中に、恥骨筋の活性の最大値(62.8%±26.6%MVC)および恥骨筋の最も高い平均的な活性(33.1%±17.4%MVC)が測定された。立位での股関節回旋運動・片脚および両脚のブリッジ運動にて中程度の活性化が見られた。
・恥骨筋は、股関節屈曲訓練中に高度に活性化され、股関節内旋のみではなく、いずれかの回旋方向に股関節安定化を要求された際に適度に活性化された。
・片脚ブリッジ運動は梨状筋の瞬間最大の活性レベル(MVC、35.7%±25.7%)を示した。平均的に活性値が高かった(MVC、24.3%±8.2%)運動は、腹臥位で両膝を45度屈曲し、左右の踵を合わせた状態で股関節の伸展をし、検査台から大腿を離す運動で観察された。
・側臥位での外転・股関節の伸展抵抗運動で中程度の梨状筋の活性が観察された。
・これらの観察は、恥骨筋および梨状筋が両方とも股関節の安定化に寄与する筋肉であることを示している。
私見・明日への臨床アイデア
・恥骨筋は股関節のすぐ近くに位置し、内転というよりは屈曲・内旋(回旋)に特に作用する、筋の長さと体積も小さい筋肉である。
・梨状筋は股関節運動としては外旋・外転に特に作用する。股関節屈曲角度では作用の逆転が言われている(屈曲60度以上内旋)。仙骨に付着し、脊柱アライメントへの影響も来す。
・今回の文献からだけでは多くの事は言えないが、筋機能を多方面から観察・推察し、臨床に生きる知識を付けていきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
梨状筋のトレーニングに役立つ動画
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)