vol.299:歩行速度や感情面に対する音楽の効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
自由速度歩行と生理面、感情面、知覚面のアウトカムに対する音楽の効果
Effects of musical tempo on physiological, affective, and perceptual variables and performance of self-selected walking pace?PubMed Flávia Angélica Martins Almeida J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1709–1712.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・病院で勤めていたときにリハビリセンターに音楽を流していたが、その音楽に感情面や動作面への影響があると述べている論文を見つけた。興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・音楽は雰囲気、感情、行動などに影響を与え、単調な運動をより楽しく、効果的なものに変えることができる。
・歩行は比較的怪我の可能性が低く、日常生活に取り入れやすい運動である。歩行と音楽を合わせることによって運動を継続しやすくなると思われるが、検証した論文は少ない。
・したがって、本論文は音楽が生理学面、感情面、知覚面、歩行機能に与える影響を検証する。
方法
・28名の女性(身体活動が少なく、座位中心の生活を送っている方)
・以下の3群で分けた
・対照群群
・90bpm群:1分間に90回のリズムの音楽刺激
・140bpm群:1分間に140回のリズムの音楽刺激
・被験者は①準備運動、実験概要説明②トレッドミル漸増運動テスト(負荷量計測)③トレッドミル歩行30分間(自由速度)
・トレッドミル歩行時の主観的運動強度(RPE)、%心拍数(%HR)、最大酸素摂取量(%VO2Max)
、感情面(快、不快を+5~-5の11段階の質問で計測)、歩行速度をアウトカムとした。
結果
表:実験結果 Flávia Angélica Martins Almeida (2015)より引用
・感情面と%HR、%VO2maxには群間の有意差が見られなかった。
・RPEに関して、対照群と140bpm群は有意差が見られたが、対照群と90bpm群には有意差が見られなかった。
・歩行速度は140bpm群が他の2群より有意に速い歩行速度だった。
私見・明日への臨床アイデア
・テンポの速い音楽は歩行速度や主観的運動強度に影響を与えることが分かった。リハビリセンターなどに応用していいかはわからないが、ジムなどの比較的若い方が集まる場所では店舗の速い音楽が有効なのではないだろうか。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)