vol.287:座位と立位のリーチ動作の違い 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
座位と立位での高齢者のリーチ動作練習の効果の違い
Comparison of the effectiveness of balance training using a reaching task between a sitting position and a standing position in the elderly.?PubMed Kim SG J Phys Ther Sci. 2015 Jul;27(7):2337-9. doi: 10.1589/jpts.27.2337
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
利用者様にリーチ動作を行ってもらうことは多い。今回姿勢の違いに着目した論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・高齢者の転倒リスクは高く、軽微な損傷でも活動性の低下につながってしまう。
・転倒リスクの軽減にバランス練習があるが、練習中も転倒の危険性があり、より安全な姿勢で行うのが望ましい。
・仮に座位と立位でのリーチ動作練習の効果が同じであるならば、より転倒リスクの少ない座位で行う方がよいのではないかと考えた。
・本研究は座位・立位でのリーチ動作練習を比較することを目的とする。
方法
・30名の地域在住の高齢女性
・座位練習群と立位練習群の2群に分けた。
・介入は1回20分、週3回、8週間とした。リーチ動作は前方、右方、左方へ最大限のリーチ動作を行うこととした。
・アウトカムは簡易版 berg balance scale (SFBBS)、 timed 10-m walk test (10MWT),、timed up & go test (TUG)、falls efficacy scale (FES:転倒恐怖感)とした。
結果
表:実験結果Kim SG (2015)より引用
・SFBBS、10MWT、TUGは両群ともに介入前後の有意差が得られた。FESは立位練習群のみ介入前後の有意差が見られた。
・10MWTは群間の有意差が得られ、立位練習群でより改善度合いが大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
立位でのバランス練習がより転倒リスクの軽減につながった。特に転倒恐怖感の指標で違いが見られており、立位で行うと被験者が自身のバランスに対して自信をつけることにつながりやすいことが分かった。転倒恐怖で活動性が低下している方に対し、立位での練習を重ねることで活動を促すことにつながるかもしれないと思った。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)