vol.339:加齢によるオトガイ舌骨筋の筋萎縮・脂肪浸潤と誤嚥 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
加齢によるオトガイ舌骨筋の筋萎縮・脂肪浸潤と誤嚥
Aging-Related Geniohyoid Muscle Atrophy Is Related to Aspiration Status in Healthy Older Adults ?PubMed Feng et al.(2013)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・継続的な舌機能の学習として本論文に至る。
内 容
背景
・高齢者では誤嚥が増加し、肺感染や肺炎に至る可能性があります。後者は、罹患率/死亡率の主要な原因であり、老人ホームの高齢者の死因の第一位である。
・筋肉のサルコペニアは、加齢による舌骨運動を減少させる上で主要な原因となり、その結果として高齢者の誤嚥リスクが高まることがある。
・顔面筋の筋萎縮および脂肪浸潤による年齢関連の筋力低下は、高齢者の嚥下障害を引き起こす可能性があります。
・安全な嚥下の重要な要素は、舌骨を上げ安定させ、気道を保護するオトガイ舌骨(GH)筋です。
目的
・この研究は、高齢者の老化および誤嚥がオトガイ舌骨筋の筋萎縮および脂肪浸潤と関連しているかどうかを調べることを目的とした。
方法
・CT康高齢者(平均年齢78歳)および40歳の若年成人(平均年齢32歳)の頭部および頸部のCTを分析しました。
・矢状面および冠状面における二次元ビューを用いて、オトガイ舌骨筋のGH断面積および脂肪浸潤を測定しました。
・40人の高齢者のうち20人の誤嚥者および20人の非誤嚥者が同定されていました。
結果
・オトガイ舌骨筋GHの断面積は、女性よりも男性が大きかった。
・断面積の減少は老化に関連し、断面積は非誤嚥者に比べて誤嚥者で有意に小さかったが、高齢男性のみであった。
・脂肪浸潤の増加は、オトガイ舌骨筋GHの中間および後部で加齢と関連していた。
・誤嚥者と非誤嚥者間でオトガイ舌骨筋GHの脂肪浸潤に有意差はなかった。つまり、オトガイ舌骨筋GHにおける脂肪浸潤は、加齢とともに増加したが、誤嚥とは関連していなかった。
・オトガイ舌骨筋GHの筋萎縮は、加齢および誤嚥と関連していました。
・これらの知見は、オトガイ舌骨筋GHの萎縮が、高齢者の嚥下の安全性および嚥下能の低下の一因となり得ることを示唆しており、さらなる調査が必要である。
私見・明日への臨床アイデア
・STが在籍する施設は良いが、在宅など不在の場合は、担当するPTOTなども多少観察眼を身に付けておく必要があると思われる。誤嚥リスクのみならず、リハビリと栄養の観点からも、触知観察できる範囲で嚥下能を確認できるように心がけていきたい。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)