vol.369:脳卒中者の腹部運動は握力・バランス・呼吸機能に影響を及ぼすのか?  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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vol.369:脳卒中者の腹部運動は握力・バランス・呼吸機能に影響を及ぼすのか?  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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カテゴリー

バイオメカニクス
 

タイトル

脳卒中者の握力・バランス・呼吸機能に対する腹部引き込み運動および腹部拡張運動の効果

Effects of the Abdominal Drawing-in Maneuver and the Abdominal Expansion Maneuver on Grip
Strength, Balance and Pulmonary Function in Stroke Patients
Mi-Ra Yoon, Ho-Suk Choi, Won-Seob Shin J Kor Phys Ther 2015:27(3):147-153
 
 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・脳卒中者へのドローイン運動の有効性を調査した研究例を知りたかったため。
 

内 容

背景

・脳卒中により生じた呼吸機能の問題は、ADLの低下へと繋がるため対応が必要である。
・呼吸機能において腹部筋群の活動は重要な要素の1つである。
・腹部筋群に対するリハビリテーションとして、腹部引き込み運動(ADIM、ドローイン)が広く使用されてきた。
・また、腹部拡張運動(AEM)が、呼吸筋強化の方法として研究されている。
・本研究の目的は、脳卒中者へのADIMおよびAEMが、体幹の安定性、バランス、呼吸機能、握力などに、どのような影響を与えるかを調べることである。
 
 

方法

・対象は36名の脳卒中者。
・ADIM群とAEM群は1週間に3回、各30分間、4週間のトレーニングを行った。
・加えて、対照群を含むすべての被験者は、1週間に15回、各60分間、4週の一般的な理学療法を行った。
・評価として、握力検査、The modified functional reach test (mFRT)、および呼吸機能検査を実施した。
・呼吸機能検査は、1秒量(FEV1)、努力性肺活量(FVC)、1秒率(FEV1 / FVC)およびピークフロー値(PEF)を測定した。
 

 
 

結果

・握力はAEM群が、ADIM群および対照群よりも有意な改善を示した。
・mFRTはすべての群で有意な改善を示し、特にADIM群は対照群よりも有意な改善を示した。
・呼吸機能検査は、すべての群でFVC、FEV1、FEV1 / FVCの有意な改善を示さなかった。しかし、ADIM群およびAEM群はPEFので有意な改善を示した(表3)。
 

 

Functional reach testのお役立ち動画↓↓↓ https://youtu.be/jcQsvOqJ_Wo

 

考察

・ADIM群およびAEM群におけるPEFの変化は、脳卒中者が呼吸運動をするとき、ADIMを行うことが体幹制御能力に効果的であるだけでなく、AEMも体幹制御能力に影響を与えることを示唆している。
 
 

私見・明日への臨床アイデア

・ドローインについては否定的な意見も耳にするので、実施するにあたっては、注意点を理解した上で、明確な目的を持って行うことが重要だと考える。
・森ら(2011)は体幹運動による腹横筋の筋厚変化について、「Drawingでは胸腰筋膜に付着し腰椎の安定性に関与する中部線維や腸骨に付着し仙腸関節の安定性に関与する下部線維において筋厚が増加した。このことから、Drawingは腰椎と骨盤の安定性向上を目的としたトレーニングとして有用である可能性が示唆された」としている。
・ドローインは固定的な姿勢制御を学習させてしまう可能性もあるので、腹筋群の活動性が低下した脳卒中者に対してリハビリの初期段階として行いながらも、機能的な姿勢制御に繋がるように配慮し、その中で呼吸や発声などの活動を改善することが出来れば、有効な手段となると思われる。
 
 

氏名 遠藤 健二郎

 

職種 言語聴覚士

 


 
 
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