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vol.111:股関節痛における大転子症候群について深く学ぶ

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カテゴリー

解剖

 

 

 

タイトル

大転子痛症候群とはなにか? Greater Trochanteric Pain Syndrome: What is this Meaning? ?Geraci, A., Orthopedic & Muscular System: Current Research. 2011 Nov. (101):1-5. 

 

 

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・担当している脳梗塞の利用者様に麻痺側の股関節痛が著明にあり、原因のひとつに大転子痛症候群というものがあることを知った。

 

・より詳しく大転子痛症候群を知ることで上記利用者様の痛みを軽減できるのではないかと考え、本論文を読もうと思った。

 

 

 

内 容

目 的

大転子痛症候群の病理、症状、診断方法、治療方法についてまとめる。

 

 

 

Introduction

・大転子痛症候群は同部位の滑液包炎として定義されている。

 

・その有病率は中年~老年成人3026人の17.6%と報告されている。

 

・女性が男性より多く、腰痛、OA、腸脛靭帯痛、肥満を有する人に生じやすい。

 

 

 

 

解 剖

・大転子部に20個ほどの滑液包が報告されており、代表的なものとして、小殿筋下滑液包、大殿筋下滑液包、中殿筋下滑液包がある。

 

・大転子痛症候群では大殿筋下滑液包の炎症であることが多い。

 

・大殿筋下滑液包は大殿筋と腸脛靭帯の結合部と外側広筋の起始部の間に位置する。

 

bursa

図:大転子周囲の解剖 Geraci, A (2011)より引用

a. 小殿筋 b. 中殿筋 c. 小殿筋下滑液包 d. 中殿筋下滑液包 e. 大殿筋下滑液包 f. 輪帯 g. h. 大腿骨頸上部、下部関節腔(原文:superior or inferior neck recess of hip joint) i. 外側広筋 k. 腸脛靭帯

 

 

 

大転子痛症候群(滑液包炎)の病因

・転倒、コンタクトスポーツなどによる外傷

 

・中殿筋、小殿筋、腸脛靭帯など大転子に付着する組織の損傷に伴う二次的な滑液包炎

 

・上記の組織の過使用による滑液包自体の摩擦、微細損傷による炎症

 

 

 

症状と身体所見

・大転子を中心とする大腿外側痛で、膝以下や大腿後面に生じることは少ない。

 

・デルマトームと一致しない大腿のしびれ

 

・歩行、階段、立位保持、座位で足を組む、疼痛部位を下にした側臥位などで痛みが増悪する。

 

・側臥位での疼痛により睡眠障害を訴える患者も多い。

 

・女性に多く、年代は40~60歳代によくみられる。

 

・股関節外転、外旋で疼痛増悪(パトリックテスト陽性)

 

・大転子の圧痛。

 

・浮腫は見られないことが多い(滑液包が深部にあるため)。

 

 

 

治療

・NSAIDs
・活動制限(階段など負荷の高い動作を控える)
・睡眠時に疼痛がない側の側臥位で寝る、もしくは外転枕を使う。
・炎症している滑液包への24%ベタメタゾンと1%リドカインの注射
・中殿筋、腸脛靭帯、大腿筋膜張筋の伸張性向上
・歩行補助具の使用、負荷の少ない歩容の獲得
・手術療法(肥厚した滑液包、骨隆起などの除去)

 

 

 

明日への臨床アイデア

 

・今回調べたことで滑液包炎の病態をつかむことができた。実際の利用者様に対し、筋の伸張性、筋緊張や歩容にどのような異常があるのか、その異常が大転子周囲にどのようにストレスとなっているのかを改めて評価し、治療につなげていきたい。

 

 

 

 

職種 理学療法士

 

 

 

   

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