vol.142:姿勢変化と呼吸・体幹筋活動との関連性 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
姿勢変化と呼吸・体幹筋活動との関連性Abdominal muscle activity during breathing in different postural sets in healthy subjects.?pubmedへ Mesquita Montes A.et al.(2017)
本論文を読むに至った思考・経緯
•呼吸筋である横隔膜はコアとしても注目される。呼吸と体の安定性は関連があると思われる。姿勢変化に伴う、呼吸・体幹筋の変化に興味を持った。
論文内容
論文背景
•CNSは姿勢および呼吸の調整のために、体幹筋活動を調整することで、腹腔内および胸腔内の圧力を同時に調節する。腹横筋はその配置から、この役割を果たすのに最も適切な機械的効率を有する。
•姿勢制御のための横隔膜および腹横筋(TrA)の筋活動は呼吸器の活動性によって調節される。
•呼気中に腹部筋収縮によって生じる腹腔内圧の増加は、横隔膜の筋線維の長さ-張力関係を最適化することにより次の吸気のための呼吸システムを準備する。
研究目的
•腹部筋活動は仰臥位から立位へと増加するが、姿勢変化における腹筋の個々の動員に関する証拠はほとんどない。
•研究目的は、健常人における呼吸中の腹部筋活動に対して、姿勢を変化させることでの効果を評価することである。
研究方法
•29人の20歳前後の健常人が参加した。
•4タイプの姿勢:①仰臥位②立位③両手を脇に着いた座位(tripod)④四つ這い(4 point kneeling position)にて同じリズムで呼吸をした。
•表面筋電図を使用し、腹直筋(RA)、外腹斜筋(EO)、腹横筋(TrA)、内腹斜筋(IO)の活性を吸気および呼気中で評価した。
研究結果
•呼気吸気共に、仰臥位と比較し、立位において外腹斜筋および腹横筋・内腹斜筋の活性化が有意に高かった。
•呼気中に、仰臥位やtripodと比較し立位で腹直筋の有意な活性を示した。
•呼気、吸気共に仰臥位よりtripodにて腹横筋と内腹斜筋の有意な活性を示した。tripodと比較し、立位にて外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の活性を示した。
•仰臥位よりも立位にて脊柱起立筋(ES)も有意に活性している。
論文を読んでいて興味を持った内容
•肋間筋は、神経支配がT1~T11と離れている。⇒上部胸郭や下部胸郭など粗大な動きだけでなく、より細かな動きと動作の関連を探っていきたい。
私見・明日への臨床アイデア
•臥位と比較し、座位や立位などは重力に抗する必要があり、姿勢制御をより求められる。その分、神経-筋活動は高まる事は容易く想像がつく。よりダイナミックな体幹筋活動や神経-筋活動が不活性な方の体幹筋活動を促すには、臥位より立位など抗重力位や抗重力活動が求められる課題が適しているかもしれない。しかし、臥位の方が、姿勢筋緊張が低い分、緊張の高い立位よりも細かな分離的な運動を促すのは向いているかもしれない。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)