vol.146:足底内在筋とバランスの関係性 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
足底内在筋とバランスの関係性Recruitment of the plantar intrinsic foot muscles with increasing postural demand.?pubmedへ Kelly LA.et al.(2011)
本論文を読むに至った思考・経緯
•足底内在筋の機能的役割について、より理解を深めるべく本論文に至る。
論文内容
論文背景
•足底内在筋は、起始と停止が足部に含まれ内側縦アーチの構造的支持を提供するが、その正確な機能は不明なままである。
•初期のEMG研究では、足底内在筋が歩行のpush off相につま先を安定させる機能的単位として作用し、距骨下関節の回内に抵抗することを示唆した。
•最近では足底内在筋の筋電図では静的な立位姿勢の間に内側縦アーチの高さを維持し、足部の回内を減少させる役割についていくつかの証拠を示している。
研究目的
•研究目的は、静止立位・静止片脚立位と姿勢変化に対する足底内在筋の活性化パターンの違いを調査することであった。
•足底内在筋はより姿勢コントロールへの要求が増加すると活性し姿勢の動揺と相関すると仮定した。
研究方法
•筋電図は健常者10人の母趾外転筋(AH:abductor hallucis)短指屈筋(FDB:flexor digitorum brevis)足底方形筋(QP:quadratus plantae)から記録された。
•2つの課題①立位②片脚立位を行い、静止座位と立位と片脚立位にて比較した。
研究結果
•足底内在筋の活性は姿勢要求の増加に伴い増加した。AH、FDBおよびQPの動員は、片脚立位中のML方向の動揺と相関しておりCoPの内側シフト中に動員が増加した。
•両脚立位では1つ又は複数の筋において少数の運動単位の間欠的動員を示した。
•AHは、両脚と片脚共に最も活動的な筋肉であった。
•足部内在筋は姿勢制御において重要であり、足を協調的に安定させ、特に片脚立位の間に内外側方向のバランスを維持するように活性される。
私見・明日への臨床アイデア
•足底内在筋を活性させるには、立位におけるバランス課題が有用なようである。しかし、評価の無いバランス練習は代償などを強める為、適切な評価や手順の後に行う必要があると思われる。足底は床と唯一接触する部分である。床を適切に知覚できるかという部分は、バランス練習を行うのであれば考慮したい所と思われる。
•母趾外転筋は最も活性を示した。逆に言えば過活動な方は硬くなりケアを要しやすい部分であるとも思われる。足底内在筋が利いていない方では、母趾を押し付けるように姿勢制御し、関節の変形を来しやすい印象もある。
•本論文の筋は、踵骨に付着するものである。立位において踵を接地しているか、していないかでも筋の発揮のしやすさは変化するように思われる。逆につま先側に十分に荷重し(安定)、踵が動くとpush off相の働き方になると思われる。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)