【2024年最新版】腹筋群の解剖学と効果的リハビリ法!自主トレーニングまで解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年最新版】腹筋群の解剖学と効果的リハビリ法!自主トレーニングまで解説

論文を読む前に

金子先生(リハビリテーション医):「丸山さん、今日は腹横筋(Transversus Abdominis)外腹斜筋(External Oblique)内腹斜筋(Internal Oblique)、腹直筋(Rectus Abdominis)について詳しく掘り下げていきます。これらの筋肉は、特に体幹の安定性や姿勢制御において中心的な役割を果たします。体幹機能が正常に保たれていることは、上肢や下肢の動作にも大きく影響を及ぼします。」

丸山さん(新人療法士):「よろしくお願いします!基本的な解剖と、それぞれの機能がどのように異なるかを詳しく学びたいです。」

1. 腹横筋(Transversus Abdominis)の解剖と機能

金子先生:「まず腹横筋(TVA)ですが、これは腹部の最も深層に位置する筋肉で、左右から水平に走っています。この筋肉は呼吸と姿勢制御に密接に関与しており、腹圧を高めることで体幹の安定性をサポートします。

腹横筋は体幹のインナーユニットの一部であり、腰椎を支持しながら動作を行う際の安定性を確保します。また、呼吸の際の呼気補助にも関与し、腹式呼吸において重要な役割を担っています。

  • 起始:第7-12肋軟骨、腰椎の横突起
  • 停止:白線(Linea Alba)および腸骨稜(Iliac Crest)
  • 主な機能:腹圧を高める、体幹の安定、呼吸補助

臨床的応用:脳卒中後の患者や腰痛患者では、腹横筋の再訓練がリハビリの重要なポイントとなります。筋力低下が姿勢不良や運動障害を引き起こすため、ドローインエクササイズなどで再教育を行うことが一般的です。研究では、腹横筋の収縮が腰椎の安定性に寄与し、痛みの軽減に効果的であることが示されています。」

2. 外腹斜筋(External Oblique)の解剖と機能

金子先生:「次に、外腹斜筋(EO)です。これは体幹の外側に位置する広範囲の筋肉で、肋骨の外側から骨盤まで斜めに走ります。外腹斜筋は体幹の屈曲や側屈、さらに対側の回旋運動に重要です。」

外腹斜筋は特にスポーツ動作や日常動作において重要で、たとえば投球動作やゴルフスイングなどでの体幹の回旋に寄与します。

  • 起始:第5-12肋骨の外側面
  • 停止:白線、恥骨、腸骨稜
  • 主な機能:体幹の屈曲、側屈、対側回旋

臨床的応用:特に腰痛患者では、外腹斜筋の筋力が低下することが多く、リハビリにおいてはPNF法体幹回旋エクササイズで強化することが重要です。外腹斜筋は横隔膜と協調して腹腔内圧を調整し、動作中の体幹安定性を維持します。」

3. 内腹斜筋(Internal Oblique)の解剖と機能

金子先生:「次に、内腹斜筋(IO)ですが、これは外腹斜筋の下層に位置し、骨盤の腸骨稜から肋骨の下部まで走っています。内腹斜筋は体幹の回旋、屈曲、側屈に寄与し、特に同側の回旋を助けます。右の内腹斜筋が働くと、体幹は右に回旋します。」

内腹斜筋は外腹斜筋と協調して動作を行い、両者のバランスが崩れると、回旋動作の非対称性が生じることがあります。

  • 起始:腸骨稜、鼠径靱帯、腰椎の筋膜
  • 停止:第10-12肋骨、白線
  • 主な機能:体幹の屈曲、側屈、同側回旋

臨床的応用内外腹斜筋の筋力バランスが重要で、特に体幹の安定性と回旋動作を効果的に行うためには、両者の強化が必要です。スポーツ選手や脳卒中患者には、リハビリにおいてこれらの筋肉の機能を統合的に評価することが求められます。」

4. 腹直筋(Rectus Abdominis)の解剖と機能

金子先生:「最後に、腹直筋ですが、これは体幹の前面を縦に走る筋肉で、最もよく知られている筋肉の一つです。体幹の屈曲を担い、特に前屈や体を丸める動作において重要です。また、内臓の支持腹圧の調整にも関与します。」

腹直筋の解剖は単純ですが、その機能は非常に重要で、日常動作のほとんどに関与します。例えば、座る、立つ、物を持ち上げる際には腹直筋が必ず使われます。

  • 起始:恥骨
  • 停止:第5-7肋軟骨、剣状突起
  • 主な機能:体幹の屈曲、腹圧調整、内臓支持

臨床的応用:腹直筋が弱化すると、特に高齢者や運動不足の患者で腰痛が増加します。リハビリでは、プランクやシットアップなどで腹直筋を強化することが推奨されます。さらに、体幹全体の安定性を高めるためには、腹横筋や斜筋とともに統合的なトレーニングが必要です。」

まとめ:腹筋群の統合的役割とリハビリの重要性

金子先生:「以上のように、腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋の各筋肉は、それぞれが異なる役割を持ちながらも、体幹の安定性や運動において非常に重要な連携を持っています。これらの筋肉がバランスよく機能することが、患者の動作パフォーマンスを最適化するための鍵となります。」

丸山さん:「これらの筋肉がどのように相互作用しているかを理解することで、リハビリのアプローチがより効果的にできるようになりますね。」

論文内容

タイトル

腹筋群の解剖学的検討Regional morphology of the transversus abdominis and obliquus internus and externus abdominis muscles?pubmedへ Urquhart DM.et al.(2005)      

本論文を読むに至った思考・経緯

•治療時の体幹筋の扱いに曖昧さを感じたため、よりイメージを持って治療できるよう本論文に至る。      

論文内容

論文背景

•腹筋群が作用した時の腰仙部の制御についてのメカニズムは、明確に理解されていない。腹部形態の記述も矛盾しており、腹部筋群の局所解剖学的構造は包括的に研究されていない。      

研究目的

•研究目的は、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋の形態を調べることであった。      

研究方法

•26人の献体において腹壁を切開し、筋の厚さや長さなどを観察した。      

研究結果)筋線維束の方向

26 ・腹横筋の上部の筋線維束の方向は水平であった。人により10度よりも大きな角度を有する場合もあった。中部と下部は(水平に近い)下内側方向へ走行した。 (角度は下部>中部)

・内腹斜筋線維束は腸骨稜に優位に付着し上部と中部は上内側に配向していた。 対照的に、腸骨稜の下方では、内腹斜筋の筋線維束は水平に配向され、ASISの下において下方内側への角度が増加した。

・外腹斜筋線維束は下方内側へ配向し中部領域で最も大きな角度を有した。偏差が大きく、献体間の変動性が高いことを示しています。      

研究結果)筋線維束長

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•全ての筋線維束は、中部で最も長く、下部で最短であった。 •外腹斜筋の中部の筋線維束は最も長く、中部の腹横筋および内腹斜筋よりも約7cm長かった。 •腹横筋の下部線維束は最も短く、わずか3.6cm程で、内腹斜筋よりも約2cm短かった。      

研究結果)筋の厚み

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•腹横筋の上部は、下部および中部よりも厚みがあった。下部および中部では厚さの差はほとんどなかった。 (腹横筋の厚み 上部>中部・下部)

•内腹斜筋の下部と中部は同様の厚さを有し、上部の厚さとは異なり、上部は最も薄かった。 (内腹斜筋の厚み 中部・下部>上部) •外腹斜筋の中部は上部よりも厚かった。

•内腹斜筋と腹横筋の上部は同様の厚みを有していた。中部は内腹斜筋と外腹斜筋の方が腹横筋より厚かった。下部では、内腹斜筋は腹横筋より24%厚かった。

•内腹斜筋の精密な観察では、下部および中部には筋層が2層認められた。

明日への臨床アイデア

腹横筋(Transversus Abdominis)、内腹斜筋(Internal Oblique)、外腹斜筋(External Oblique)の筋厚に関する論文内容を基に、各筋のリハビリアイデアを具体的に解説します。筋の厚みの違いは、筋の部位ごとの機能的な役割や負荷のかかり方に関連しており、それに応じたリハビリ介入が必要です。

1. 腹横筋(Transversus Abdominis)へのアプローチ

  • 上部の厚みが中部・下部よりも大きいため、体幹の安定性を求めるリハビリにおいて、ドローインエクササイズ呼吸法を利用してまずはこの部位を優先的に活性化させることが効果的です。
  • 徒手介入では、患者の下位肋骨の外側を軽く押し込みながら、患者に深い呼吸を促し、吸気とともに腹横筋上部を活性化させる方法が有効です。これにより、腹横筋全体が協調して働きます。
  • トレーニング例:
    • 呼吸トレーニング:ドローインで腹横筋の上部をしっかり収縮させることを意識し、低負荷から徐々に負荷を増やす。
    • 側臥位でのドローイン:側臥位の姿勢で体幹を安定させながら、上部腹横筋に焦点を当てたドローインを行う。下側にある筋群が特に働きやすいため、効果的な訓練になります。

2. 内腹斜筋(Internal Oblique)へのアプローチ

  • 内腹斜筋の中部・下部は最も厚みがあり、上部は最も薄いため、まずは中部・下部に負荷をかけるトレーニングから中心に開始すると良いでしょう。特に下腹部に負荷がかかるような姿勢で内腹斜筋の中部・下部を活性化させることが重要です。
  • 徒手介入では、内腹斜筋下部に対して、側臥位や仰臥位での体幹回旋運動中に、手掌で側腹部を押し込みながら回旋をサポートする方法が有効です。この手法により、特に下部筋群が働きやすくなり、腹部の安定性が向上します。

トレーニング例

    • 体幹回旋運動:斜め上への回旋運動(サイドプランクのような運動)を行うことで、内腹斜筋中部・下部をターゲットにした強化が可能です。
    • レッグレイズ:仰臥位でのレッグレイズにより、内腹斜筋下部に効果的な刺激を与えることができます。足の上げ下げ時に腹圧をかけて、内腹斜筋を意識します。

3. 外腹斜筋(External Oblique)へのアプローチ

  • 外腹斜筋の中部は上部より厚いため、中部にフォーカスしたトレーニングから開始していくことは有用です。これにより、体幹の安定性と回旋動作の改善に寄与します。
  • 徒手介入では、仰臥位または側臥位での体幹回旋時に、外腹斜筋中部に圧をかけることで筋収縮を強調することが可能です。このアプローチにより、中部の筋肉が効率的に活性化され、患者の体幹支持力を高めることができます。

トレーニング例

    • バイシクルクランチ:仰臥位での対角線上に肘と膝を近づける運動により、外腹斜筋の中部を強化します。この運動は特に体幹の回旋機能を向上させます。
    • メディシンボールを使った回旋運動:座位または立位で、メディシンボールを左右に回旋させるトレーニングにより、外腹斜筋の中部に直接負荷をかけることができます。

4. 内腹斜筋と腹横筋の比較的薄い部位へのアプローチ

  • 内腹斜筋と腹横筋の上部は厚みが同じで、比較的薄いため、この部位を適切に刺激することが大切です。特に姿勢保持や呼吸を利用した低強度の運動を用いることが推奨されます。
  • 徒手介入では、深い呼吸や軽い体幹運動中に、軽い圧を使って上部の筋肉を促通させる方法が有効です。これにより、姿勢制御の改善が期待されます。

トレーニング例

    • ドローインを利用した上部の活性化:上部筋群の弱さに対して、仰臥位での呼吸法を用いたドローインや腹圧トレーニングが有効です。

5. 2層構造を持つ内腹斜筋下部へのアプローチ

  • 論文で述べられているように、内腹斜筋の下部と中部には筋層が2層あるため、特に下部へのアプローチは非常に重要です。下部は腹部の支持力や安定性に大きく寄与するため、強化することで体幹全体の機能が向上します。
  • 徒手介入では、仰臥位での骨盤安定化運動時に内腹斜筋下部を意識させ、手掌を用いて局所的に圧をかけることで、下部層の筋収縮を高めることが可能です。

トレーニング例

    • プランクバリエーション:プランクの状態で膝を軽く屈伸させたり、片足を持ち上げることで、内腹斜筋下部への負荷を強調します。
    • ヒップヒンジ運動:下腹部を安定させながら、骨盤の前傾後傾運動を行うことで、下部内腹斜筋の層に直接的な負荷をかけることができます。

まとめ

筋厚の違いに基づくリハビリ介入は、各筋群の解剖学的特性に応じて細かく調整することが重要です。特に、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋の各部位の厚みに応じたトレーニングや徒手療法は、患者の体幹安定性と運動機能の改善に効果的です。

新人療法士が腹筋群への介入を行う際のポイント

脳卒中患者の姿勢制御能力改善を目的に、新人療法士が腹筋群へのリハビリ介入を行う際に押さえておくべきポイントをまとめました。これらのポイントは、患者の体幹安定性や姿勢保持能力を強化し、日常生活での動作やバランス機能を改善するための具体的な介入方法です。

1. ドローインによる腹横筋活性化

  • ポイント: ドローインエクササイズで腹横筋を効果的に活性化し、体幹の深層安定筋を強化する。
  • 介入方法: 仰臥位や座位で患者に腹を軽くへこませるよう指示し、息を吐く際に腹横筋の収縮を意識させる。特に呼吸に合わせたタイミングが重要です。

2. 体幹の前後傾運動

  • ポイント: 骨盤の前後傾運動は内腹斜筋や外腹斜筋の中部・下部をターゲットにする。
  • 介入方法: 座位で骨盤を前後に動かしながら、腹筋群の協調性を促進させる。特に下腹部への意識を高め、骨盤の動きをサポートします。

3. 側臥位での腹筋ストレッチ

  • ポイント: 側臥位でのストレッチにより、外腹斜筋と内腹斜筋の柔軟性を改善し、運動範囲を広げる。
  • 介入方法: 側臥位で片腕を頭上に伸ばし、体幹を反らせることで腹斜筋をストレッチ。これにより、筋収縮時の力発揮が向上します。

4. プランクバリエーションによる体幹安定性強化

  • ポイント: プランクをベースにした運動は腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋を全体的に強化し、体幹の安定性を向上させる。
  • 介入方法: フロントプランクに加えてサイドプランクや動的プランクを導入し、腹筋群の全体的な協調性を促します。

5. 骨盤固定と上半身の回旋運動

  • ポイント: 骨盤を固定した状態で上半身を回旋することで、特に腹斜筋群に強い負荷をかけ、姿勢保持機能を高める。
  • 介入方法: 坐位で骨盤を安定させた状態で、胸郭を左右に回旋する運動を行う。回旋時に腹斜筋の収縮を意識させることがポイントです。

6. リズミカルな骨盤運動の導入

  • ポイント: リズムを使った骨盤の前後・左右の運動は腹筋群全体を効果的に働かせる。
  • 介入方法: リズミカルに骨盤を動かし、患者に体幹の協調性を促す。音楽やメトロノームを使用してリズム感をつかませると効果的です。

7. 腹部筋肉の左右不均衡への介入

  • ポイント: 片麻痺患者は腹筋群の左右不均衡があるため、弱化している側を特に強化する必要がある。
  • 介入方法: 側臥位で弱い側の腹筋群に対して集中的にトレーニングを行い、徒手での圧迫やストレッチを組み合わせます。

8. 姿勢制御に関連する呼吸トレーニング

  • ポイント: 呼吸と姿勢制御は密接に関連しているため、腹横筋や内腹斜筋を活性化する呼吸法を組み込む。
  • 介入方法: ドローインと呼吸を連動させた訓練を行い、腹部の安定性を高める。同時に腹圧を高めて、姿勢保持機能を強化します。

9. 内腹斜筋下部への特化したアプローチ

  • ポイント: 内腹斜筋の中部・下部は特に強力であり、ここをターゲットにしたエクササイズが重要。
  • 介入方法: 仰臥位での膝抱え込みやヒップヒンジ運動で内腹斜筋下部を刺激。片脚を使った動作で、負荷を調整しながら進めます。

10. 体幹の安定化と四肢運動の連動性

  • ポイント: 姿勢制御の改善には体幹と四肢運動の連動が不可欠。特に腹筋群の安定化が四肢の動きに影響する。
  • 介入方法: 仰臥位や四つん這いの状態で、体幹の安定化を意識しつつ、四肢を動かすトレーニングを行います。四肢の動きに伴い、腹筋群が協調して働くよう促します。

これらのリハビリテクニックは、腹筋群の解剖学的特性や病態に応じた細かい調整を行い、患者の姿勢制御能力を効果的に向上させるための介入方法です。

足組みエクササイズで腹斜筋を鍛える

腹斜筋には内腹斜筋と外腹斜筋があり、これらは体幹の回旋と骨盤-体幹のバランス機能に関与します。
足組み動作は装具の着脱でも大切な運動です。

足組みエクササイズのポイント

①骨盤を起こす

腹斜筋は骨盤に付着しているため、骨盤を起こす動きで、骨盤周囲の神経と筋活動が促通されます。

②座面の調整

固い素材は臀部からの感覚情報が入りやすく正しい運動につながります。また、タオルなどで高さを調整することで重心移動しやすくなります。

③常にフォームを意識

正しい運動や感覚の学習には、運動開始、運動中のフォームを意識して正しい姿勢で行いましょう.

①足組みは骨盤後傾や脊柱回旋などの不良姿勢や、痙縮を助長する可能性があります。不良姿勢や痙縮が出現しない範囲で始めましょう。

②麻痺側への重心移動は難易度が高く転倒リスクがあります。不安定な方は足を組む動作から始めましょう。

退院後のリハビリは STROKE LABへ

当施設は脳神経疾患や整形外科疾患に対するスペシャリストが皆様のお悩みを解決します。詳しくはHPメニューをご参照ください。

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以下の内容を元に具体的トレーニングを呈示します。

STROKE LABではお悩みに対してリハビリのサポートをさせていただきます。詳しくはHPメニューをご参照ください

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