vol.173:顎関節症と頚部障害との関係性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
顎関節症と頚部障害との関係性Jaw Dysfunction Is Associated with Neck Disability and Muscle Tenderness in Subjects with and without Chronic Temporomandibular Disorders?hindawiへ A Silveira et al.(2015)
本論文を読むに至った思考・経緯
•STともより議論して患者を良くしていきたいと思い、口腔・顎関節関連を学ぶ過程で本論文に至る。
論文内容
背景・研究目的
•顎関節症(TMD)の方において圧痛・weaknessな部分は共通している。
•TMDを有する被験者における頚部の機能障害、顎関節の機能不全、および筋圧痛の相関は、さらなる調査が必要である。
•本研究では、慢性TMDの有りおよび無しの被験者における頚部障害、顎関節の機能障害、および筋の圧痛の相関を調べた。
研究方法
•19〜49歳の40人の女性がこの研究に参加した。
•40人の内訳は20人の健常者と慢性TMDおよび頚部障害を有する被験者20である。
•被験者はNeck Disability Index(NDI)(国際的に最も多く使用されている頸部痛用の自己記入式の質問票)に答えた。
•咀嚼筋および頚部筋の圧痛をalgometer(痛覚閾値測定計)を用いて測定した。
研究結果
•顎関節の障害と頚部の障害との相関は有意に高かった。
•顎関節の機能障害および頚部障害と咀嚼筋および頚部筋における筋の圧痛のレベル間の相関は、中程度の相関を示した。
•上部僧帽筋および側頭筋における高レベルの筋の圧痛は、高レベルの顎関節および頚部の機能不全と相関した。さらに、高レベルの頚部障害は、高レベルの顎関節障害と相関していた(約82%)。
•これらの知見は、TMDを有する患者を評価し治療する際に、頚部およびその構造を考慮する重要性を強調している。
私見・明日への臨床アイデア
•臨床上もhead forward postureかつrounded postureの方で肩~頭頚部と顎関節・歯とトラブルを抱えてる方を担当している。僧帽筋上部、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、咬筋、側頭筋など圧痛が確認され、論文と通じる。左右差があり、顎と肩・首と痛む側は共通していた。顎関節の障害でも、頭頚部や肩、マクロな視点で姿勢をはじめ総合的に評価する必要がある。その中で、圧痛所見は評価の一助となり得る。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)