vol.184:胸椎屈曲姿勢と固有受容覚 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
胸椎固有受容覚に対する胸椎屈曲症候群の影響
Influence of Thoracic Flexion Syndrome on Proprioception in the Thoracic Spine ?ubMed Kyue-Nam Park J Phys Ther Sci. 2014 Oct; 26(10): 1549–1550.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・円背姿勢は背部の筋が常に伸張位に保たれるため、筋紡錘の機能が低下し固有受容感覚が低下するのではないかと感じた。今回、胸椎屈曲症候群の固有受容感覚を調べた論文を見つけ、読んでみようと思った。
内 容
背景・目的
・胸椎屈曲症候群は胸椎の屈曲と後方重心を呈した姿勢のことである。自力で胸椎屈曲姿勢を修正することは難しく、位置覚の低下していることが予想されるが、胸椎屈曲症候群の有無で位置覚を比較した論文は少ない。本論文は胸椎屈曲症候群の有無が矢状面上での胸椎伸展にどう影響を及ぼすか検討する。
方法
・30名の健常若年成人を2群に分けた。胸椎屈曲群と対照群。
・胸椎屈曲症候群の診断は①座位・立位・四つ這い位で過剰に胸椎屈曲②上肢屈曲に伴い胸椎屈曲角度が増加③胸骨下角が広い④胸椎屈曲、もしくは伸展で疼痛がある
・胸椎位置覚は座位にて計測した。2回立ち座りを繰り返した後の座位を開始肢位とし、ターゲットの伸展角度まで伸展をしてもらう。
結果
・伸展角度の誤差は胸椎屈曲群で有意に大きかった(胸椎屈曲:21.12°±11.13°、対照:14.20±3.23°)
私見・明日への臨床アイデア
・日常的に胸椎屈曲位を呈している被験者は伸展角度の誤差が大きく、固有受容感覚の低下が示唆された。高齢者の円背でも同様の低下が予想され、姿勢の修正を難しくしている一因であると思われる。臨床では円背による位置覚の低下がベースにあることを考慮し、治療に臨むと良いかもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)