vol.188:睡眠姿勢と頚部筋活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
睡眠姿勢と頚部筋活動 Effect of sleep posture on neck muscle activity?PMCへ Won-Hwee Lee et al.(2017)
本論文を読むに至った思考・経緯
•以前、自身も枕が合わない事があったが、体の使い方等を注意するようになり、トラブルが解決した。姿勢や普段の体の使い方と睡眠について興味があり、本論文を読むに至る。
論文内容
背景
•睡眠は、身体とその機能を回復させ、エネルギーと健康を維持するために大切です。十分に睡眠が取れていない人は、気分の問題、認知能力の低下、疲労や身体的不快感の増加があります。
•睡眠の質は、人間の健康だけでなく、生活水準にも直接関係しています。良質な睡眠は、慢性および急性の痛みの改善と関連しています。
•夜間の睡眠姿勢は睡眠の質とも密接に関連しています。
•睡眠姿勢は、肩や首の筋骨格系の障害、頭痛とも関連しています。
•不適切な睡眠姿勢は痛みを悪化させる可能性がありますが、適切な枕を使用すると頸部の痛みを和らげることができます。
•仰臥位では、正常な脊柱の弯曲が維持されるべきである。側臥位では、頚椎・胸椎はmuscle stifnessなく、椎間関節に過負荷がないように、互いに配列されるべきです。頚部痛を抱える人々が首を支える枕を使用すると、睡眠の質が向上します。
•最も快適な枕を使用する場合でも、睡眠と頸部の筋活動の質は、習慣的な睡眠姿勢に影響を受けるはずである。
研究目的
•本研究は、睡眠姿勢が頚部筋の活動に及ぼす影響について検討した。
研究方法
•3タイプの仰臥位の睡眠姿勢で研究を行った。
1)両手を体側に置いた姿勢 (BHS; arms abducted 0°)
2)両手を胸の上に置いた姿勢 (BHC; arms abducted 45°)
3)利き手を額に置いた姿勢 (DHF; dominant arm abducted 90°)
•参加者は20人の健康成人が参加した。
•斜角筋および上部僧帽筋の活動が、表面筋電図によって測定された。
研究結果
•右側の僧帽筋および斜角筋の活動は、利き手を額に置いた姿勢で優位に大きかった。
•左側は3つの姿勢で有意差はなかった。
興味深かった内容
•僧帽筋上部線維の片側性の活動は頸部の同側側屈と対側回旋に作用します。右僧帽筋の片側活動は左回旋を引き起こしたが、一方、斜角筋は右回旋を引き起こした。DHFの姿勢は、頸椎の不均衡な配列につながる。
私見・明日への臨床アイデア
•枕が合わない等の問題は就寝姿勢と筋の状態を照らし合わせることで、問題解決の糸口となり得る。また、日常生活での上肢~頭頚部の不均等な身体の使い方は、夜間まで尾を引き、就寝時の頚部~肩の違和感に繋がる可能性がある。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)