vol.207:脳卒中者の吸気に対する抵抗運動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス、歩行
タイトル
脳卒中者の吸気に対する抵抗運動の効果:ランダム化比較試験
The effect of chest expansion resistance exercise in chronic stroke patients: a randomized controlled trial.?PubMed Kim CB J Phys Ther Sci. 2015 Feb;27(2):451-3.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中者の呼吸に対して評価、アプローチは体幹機能を見るうえで非常に重要である。今回ランダム化比較試験(RCT)で吸気に対して抵抗運動を行った際の効果を検討している論文を見つけ、読みたいと思った。
内 容
背景・目的
・脳卒中者の呼吸筋筋力低下は易疲労、呼吸困難、ひいては歩行に影響を与える。
・本研究は吸気に対して抵抗運動を加えて呼吸筋強化を図った際の呼吸機能、胸郭周径、歩行をアウトカムとして検討する。
方法
・40名の脳卒中者を介入群と対照群にランダムに分けた。
・歩行能力として10m歩行テストと6分間歩行テストを、呼吸機能としてVC(肺活量)、FVC(努力肺活量)、 FEV1(1秒率)、胸郭周径をそれぞれ介入前後に計測した。
・両群に対して下肢の運動を行い、介入群はさらに徒手的に吸気抵抗運動を行った
結果
表:実験結果 Kim CB (2015)より引用
・介入群は介入前後で胸郭周径に有意な拡大がみられたが、対照群ではみられなかった。
・両群ともにVC、FVC、FEV1に介入前後の有意な改善は見られなかった。
・両群とも10m歩行テストでは介入前後の有意差はなかったが、6分間歩行テストは介入群で有意差がみられた。
私見・明日への臨床アイデア
・吸気への抵抗運動によって胸郭がより拡大し、6分間歩行のスコアが向上した。歩行機能の向上は吸気抵抗運動によって横隔膜の活動が高まり、腹圧上昇、ひいては体幹安定化に寄与したことが一因であると思われる。臨床では利用者様の呼吸状態や胸郭の運動がどうなっているのか、評価・介入できるとよいと思う。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)