vol.248:高齢女性の円背と胸椎過屈曲修正運動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
円背を有する高齢女性の姿勢と胸郭機能に対する胸椎修正運動の効果
Effect of thorax correction exercises on flexed posture and chest function in older women with age-related hyperkyphosis.?PubMed Jang HJ J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1161-4. doi: 10.1589/jpts.27.1161.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
円背を呈する利用者様は多く、少しでも過剰な脊柱屈曲を緩められたらと考えることは臨床でよく経験する。今回胸椎アライメント修正を図り、姿勢と胸部機能にどういった変化があるか調べた論文を見つけたため、読もうと思った。
内 容
背景・目的
・高齢に伴う脊柱過屈曲(ARH)は高齢女性に特に多く見られ、圧迫骨折の一因となる。
・また、ARHにより肋骨運動も制限され、呼吸機能にも影響を与える。
・ARHの修正のための背部筋力増強と柔軟性向上練習があるが、身体全体をアウトカムとしており胸椎に絞った論文は少ない。また同時に呼吸機能を検討した研究も多くは行われていない。
・したがって、本研究は8週間の胸椎アライメント修正運動によって胸椎アライメントと呼吸機能がどう変化するか検討する。
方法
・41名の高齢女性(胸椎屈曲角度45°以上)を実験群と対照群の2群に分けた。
・姿勢は座位とし、胸椎屈曲角度と頭部前突の程度(壁から耳珠までの距離)を計測した。
・呼吸機能は肺活量(VC)、努力1秒量(FEV1)、最大吸気時の胸囲をアウトカムとした。
・介入は週2回を8週間行った。1回1時間の運動のなかに呼吸改善、胸椎柔軟性・安定性・アライメント修正を目的に実施した(セラバンドなどを使用)。
・対照群は介入群と同内容の運動をホームエクササイズとして実施させた。
結果
表:実験結果 Jang HJ (2015)より引用
・両群ともに胸椎屈曲角度、頭部前突距離に介入後の改善がみられた。
・両群ともにVCとFEV1に介入前後の差はみられなかった。
・実験群の胸囲のみ群間の有意差がみられた。
私見・明日への臨床アイデア
・胸椎過屈曲姿勢の改善のための運動により、屈曲角度や頭部位置の改善がみられた。対照群ではホームエクササイズでも効果が出ており、有意義な結果だと考える。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)