vol.295:50歳以上女性の立ち上がり動作と足部・上肢位置 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
50歳以上の女性の5回立ち上がりの完遂時間に対する上肢の位置と足部位置の影響
Effect of arm position and foot placement on the five times sit-to-stand test completion times of female adults older than 50 years of age
?PubMed Shamay S.M. Ng J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1755–1759.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
上肢位置で立ち上がりに差があると臨床コースで以前学んだ。今回上肢位置と足部位置に変化を加えることで5回立ち上がりの時間にどう影響がでるか調べた論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・5回連続立ち上がりテスト(FTSTS)は5回の立ち上がりを出来る限り速く行い、その際の時間を計測するテストである。下肢筋力、麻痺患者のバランス、高齢者やパーキンソン病患者の転倒リスクなどを評価する指標となっている。
・本研究は上記テストを用いて、50歳以上の女性の立ち上がりが上肢位置、足部位置によってどう影響が出るかを検討する。
方法
・28.5cmのアームレストなしの椅子を使用
・以下6つの条件で計測
・Condition 1: 足部正中位、手掌は大腿の上
・Condition 2: 足部正中位、上肢は胸の前で交差
・Condition 3: 足部正中位、両手指を組み、肩関節屈曲90°、肘伸展0°
・Condition 4: 足部後方位、手掌は大腿の上
・Condition 5: 足部後方位、上肢は胸の前で交差
・Condition 6: 足部後方位、両手指を組み、肩関節屈曲90°、肘伸展0
・足部正中位は膝の直下に足部があり、足関節背屈0°、足部後方位は膝関節から引いた垂線より足部が10cm後方に位置した状態。
・5回の立ち上がりを出来る限り速く行うように指導
結果
表:実験結果 Shamay S.M. Ng (2015)より引用
・29名の50歳以上の女性が参加した(平均年齢63.1±5.3歳)。
・足部後方位の方がFTSTSの時間が有意に短かった。
・上肢位置の違いによる有意差はなかったが、Condition 4と5を比較すると、4(手掌が大腿の上)は11.8±4.8秒、5(上肢を胸の前で交差)は13.1±5.5秒とCondition 4 で速い結果となった。
私見・明日への臨床アイデア
・上肢位置に有意差はなかったが、最も立ち上がり時間が速くなったのは手掌を大腿の上に置いた条件だった。下肢だけでなく上肢でも垂直上方向の反力を作れるためだと考える。立ち上がりに問題がある場合、上肢伸展筋の筋力向上をしても良いのだろう。
氏名 匿名希望
職種 理学療法士
病院内 スタッフ育成サポート
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2017年12月まで7施設の病院からご依頼を頂いており、計14回の講義・実技を行う予定です。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)