vol.320:尺側手根伸筋と遠位橈尺関節の動的安定性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
尺側手根伸筋と遠位橈尺関節の動的安定性
Role of the extensor carpi ulnaris and its sheath on dynamic carpal stability.?PubMed Salva-Coll G et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・手の訓練をすることが多く、つまみ動作時にⅠ~Ⅲ指に目が行きやすいが、尺側が与える影響をより理解したいと思ったため。
内 容
背景
・手根骨の安定性におけるECUの役割に関する先行文献は、遠位橈尺関節に対する筋の動的な安定性の役割を指している。
・ECUは、尺骨頭上を通過し、小指の中手骨底に付着する。いくつかの研究では、ECUが鞘内に位置することの重要性が強調されています。
目的・方法
・手関節の筋による安定化のメカニズムを調査するべく、図のように特別に設計された手関節の試験装置を用いて、10人の献体を用いて試験した。
・献体は試験装置にセットされ、有頭骨の中心とほぼ一致する軸の周りで拘束された手関節の回内外が起こされた。尺側手根伸筋(ECU)には特定の負荷がかけられた。
結果
・図のように鞘を切開した後、運動の全体的な方向は変わらないままであった。しかし、遠位および近位の手根骨列に対してそれぞれ40%および50%の回内力が減少した。これは、ECUが内側に変位し、その機械的利点を失うという事実によって説明される。
・ECUは遠位の橈尺骨関節の安定化に加え、手関節の動的安定性に寄与する重要な構造を有する。
・さらに、その鞘は、ECUが手根骨に及ぼす影響を維持する上で重要な役割を果たします。遠位尺骨をプーリーとして使用して、その機械的利点を高めているという説明が可能性が高い。
私見・明日への臨床アイデア
・手の力には尺側の安定性が必要である。尺側ラインの機能的状態(尺側ライン全体の筋緊張・可動性・滑走性他・・)を観察し、コンディショニングする事は手の動的安定性に重要であることが本論文を読み感じられた。
氏名 kakusho shuichi
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)