vol.324:立ち上がり動作に影響を与える要因 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
立ち上がり動作に影響を与える要因:レビュー Determinants of the sit-to-stand movement: a review. ?PubMed Janssen WG Phys Ther. 2002 Sep;82(9):866-79.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
立ち上がり動作について再度学びたいと思ったため。
内 容
背景・目的
・立ち上がり動作の定義はいくつかある。本論文では「座位から立位へ、バランスを崩すことなく身体重心を上方へ動かす動作」、「身体重心が安定したところから、伸展位下肢上の不安定なところへの移動を要する、アップライト姿勢への移行動作」としている。 ・立ち上がり動作は4相に分けられている。 Phase1: 屈曲相(動作の開始から離殿直前まで) Phase2: 移行相(離殿から足最大背屈まで) Phase3: 伸展相(足最大背屈後から股関節伸展位の終わりまで) Phase4: 安定期(股関節伸展が終了し、すべての動作が安定し終わるまで) ・立ち上がり動作の基礎知識として、立ち上がり動作に影響を与える要因(決定要因)を知る必要があると筆者は考えている。したがって本論文は上記決定要因がなにかを調べていく。
方法
・システマティックレビュー ・MEDLINEとthe Science Citation Index Expanded(1980–2001)を、“chair,” “mobility,” “rising,” “sit-to-stand,” and “standing”のキーワードで検索した。 ・比較研究や記述研究は除外し、実験研究のみ採用した。 ・決定要因は①椅子に関わるもの、②被験者に関わるもの、③動作戦略に関わるものの3つに大別した。それぞれの項目と論文数を下図にまとめた。
結果
表:各決定要因と論文数 Janssen WG (2002)より引用 ・160の論文から39の論文を抽出した。 ・椅子に関する要因は椅子の高さに関するものが多く、アームレストの位置や使用の有無、椅子のタイプなどがあった。バックレストに関して述べられた論文は見つからなかった。 ・被験者関連要因については、年齢、疾患、筋力、裸足の項目を予想したが、今回の検索では該当する論文は見つからなかった。 動作戦略については、①動作スピード、②足の位置、③体幹の位置や動き、④上肢の動き、⑤最終域制限(股関節伸展0°まで伸展せずに動作終了)、⑥暗条件・明条件、⑦関節固定、⑧膝の位置、⑨訓練の有無がみられた(⑨注意に関する論文があると著者は考えていたが、実際は見つからなかった。)
私見・明日への臨床アイデア
・立ち上がりに影響するいくつかの因子を全体的に把握することができた。多要因が絡んでおり、立ち上がり動作の分析や改善のために多面的に考える必要があることがわかる。次はひとつひとつの要因の影響を整理したい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)